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コロナ 常務執行役 上席執行役員 営業本部長 塩田 清貴 氏

省エネ需要捉えた製品づくり好評
DCモーター搭載で低消費電力性No.1

今年の市場は、経済活動の再開や戦争の長期化、異常気象など複合的な要因が折り重なり読みにくい。そうした中でも節約・節電には生活者の関心が向いていることは間違いない。暖房機器の省エネ化に長年取り組んできたコロナは、今年から石油ファンヒーター全機種に省エネ運転機能を搭載するなど動きを加速させている。同社・常務執行役上席執行役員の塩田清貴営業本部長に、今冬の業況感に加えてイチ押し製品や節約・節電に繋がる石油ファンヒーターの使い方を聞いた。

――今年の市況は厳しいという声が様々な業界から聞こえてきます。貴社の実感を教えてください。

「一言で言うのであれば、やはり厳しい市況だと思います。当社は空調・暖房機器と住宅設備機器を大きな柱としています。空調機器は特にその年の気候に左右されると言われていますが、今夏は記録的な猛暑であったにも関わらず、業界全体の出荷数が前年の90%を切る見通しです。この夏は気候に応じた動きとなっていないので、これまで以上に市場を予測しづらくなってきていると感じています」

――落ち込みの理由をどうみますか。

「この3年間は巣ごもり需要や国からの補助金の関係で、家の中の製品がよく売れました。こうした動きが需要を先食いしたとの見方もあります。経済活動が再開される中で消費者の目は外に向いていますし、昨年末からの物価とエネルギーコストの上昇が家計を圧迫しており、生活防衛のために家の中の製品に関しては財布の紐が締まっている印象です。つまり、3年間の若干の需要の先食いと物価高による需要の先送りの谷間に入っているのが今年ではないかとみています」

――今冬については気象庁が暖冬になると予測しており、厳しい市況が続きそうです。

「不安要素はありますが、今はどういった店づくり、売り場づくりをしていくかを検討し、実行している段階。幸い、業界全体が下がるとみられている中、当社は昨年を上回る計画を立てさせていただいており、良い感触を得ています」

――その理由は。

「今年のお客様ニーズの中心は電気代の削減や省エネ性能だとみています。特に電気料金が上がっているので、電源が不要なポータブル石油ストーブや消費電力が少ない石油ファンヒーターへの引き合いが好調でした。当社は今年から石油ファンヒーターの全製品(7シリーズ15機種)に省エネ機能を搭載しており、ニーズに寄り添ったモノづくりが良い方向に働いたと思っています」

■DCモーター搭載の最上位モデル好評

――省エネ性能が好評とのことですが、特におすすめの製品はありますか。

「石油ファンヒーターのフラッグシップモデル『WZシリーズ』がイチ押しです。そもそも当社の石油ファンヒーターは、自己燃焼熱を活用する構造のため運転中の消費電力が非常に低くできています。その中でもWZシリーズは、2つのDCモーターを搭載することで、業界ナンバーワンの低消費電力を実現しています(235月時点、同社調べ)。もちろん、WZシリーズにも省エネ機能は搭載しています。自動で室温を20度に保ち、部屋の暖め過ぎを防ぐ新ecoモードや、人の動きを検知して火力の調整や消火を行う省エネセンサーなどで灯油の使用を抑える機能も付いています。電気代と灯油代の合計で、1シーズンあたり約13100~2900円節約可能だとみています」

――夏場であればエアコンとサーキュレーターの併用などがエコな使用方法として知られています。石油ファンヒーターでも節約につながる使用法などはありますか。

「実は、少し寒くても我慢するのが一番エコです(笑)。それではだめだと思うので、暖房機器を部屋のどこに置くかを意識することが大切です。通常、リビングの真ん中など人が集まる場所の近くに置いてしまいがちですが、暖房機器は窓際に置くのが基本です。冷気が入ってくる窓際に置くことで、コールドドラフトを防ぎつつ、空気を循環させ部屋全体を速やかに暖められます。他にも、フィルター掃除をこまめに行うことや搭載されているエコモードをしっかりと活用することによって無駄な暖め過ぎなどを抑えてくれます」

――今後の方向性を教えてください。

「これまで当社はマイナスからゼロにするお手伝いをしてきました。つまり、『寒い』や『不便』というマイナスのニーズを解決する製品づくりでゼロにしてきました。中期経営計画で『楽』から『楽しい』への事業領域拡大を基本戦略の一つとして掲げている通り、ゼロからプラスのイメージを持てるような製品づくりを広げていこうと考えています」

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石油ファンヒーターの最上位モデル「WZシリーズ」。高級感のある躯体の全面と上部には大型の表示パネルを搭載。1日の灯油使用量を明示するエコガイドなど効果や機能をわかりやすく表示する

(2023年10月25日号掲載)