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オムニヨシダ 代表取締役社長 日野 真二郎 氏

現場発のマテハン設備でさらなる成長へ

国内ではじめてパレット垂直搬送機としての認定許可を取得したオムニヨシダ。マテハンメーカーの草分け的存在として知られる同社の経営のバトンは、昨年4月に日野真二郎社長へと受け継がれた。開発から約50年を迎える主力の垂直搬送機に加え、近年ではロボットを使ったデパレタイズロボットやパレット交換機など多彩な省力化設備にも力を入れる。さらなる成長に向けた戦略を聞いた。

——就任からおよそ一年ですが、足元の市場環境は。

「受注状況はここ3、4年非常に好調。部品等の遅れで当社も納期が延びており、逆に言えば早めに発注を頂いて既に今期売上と同じくらい来期の売上分を確保している状態です。現在追っている案件は、2024年4月以降に納める物件です。我々の設備は新築向けがメインです。納期でご迷惑をかけないために早めに部品手配も対応しています」

——この状況は当面続きそうですか。

「油断はできませんが、しばらくはこの動きが続くと見ています。例えば半導体ファウンドリのような大型工場ができれば近隣には必ず物流倉庫が建ちます。自動車もここにきて生産台数を引き上げる動きがあり、昨今の不透明なビジネス環境の中で導入する設備をなるべく国内製に揃える動きも増えてきました。引き続き気を引き締めて営業活動に邁進します」

——特に販売が好調な設備は。

「我々の主力は垂直搬送機ですが、なかでも台車・パレット兼用型の製品が好調です。工場では荷姿が統一されていますが、EC向けの大型物流施設では台車やカゴ車、パレットが現場に混在しています。そこに一台で対応できるのが好調の要因でしょう。また食品・医薬品・化粧品などチェンコンベヤの油を嫌う業界向けに、ローラコンベヤを用いた搬送ラインの導入例も増えています。他にもパレット交換機『パレスルー』も市場に浸透しつつあり、これも特にクリーン環境が要求される三品業界でニーズが高い。通いパレットから自社パレットに積み替える工程の自動化に活用いただいています」

——トラックの荷下ろしを自動化する「エクステナー」や、荷積みを自動化する「シャトルローダー」、登坂可能でレベラーにもなる「クライミングレベラー」などユニークな設備も展開されています。

「トラックからの荷積み・荷下ろしは重労働でドライバーの拘束時間も長い。エクステナーやシャトルローダーはそこを解消できる設備で、このところ引き合いも増えてきました。昨今いわゆる『2024年問題』が取沙汰されています。ドライバーの残業を減らさねばならず、労働時間を短縮できる物流設備は今後ますます需要が高まると考えています。同じ理由でデパレタイジングシステムにも注力しており、ロボットで複数のワークをパレットから台車に積み替える提案をしています。ロボットは我々自身でシステムインテグレートし、ハンドも自社で設計。まずは垂直搬送機の既存ユーザーから拡販を進める方針です」

■工場の新設も計画中

——ご自身の考える貴社の強みは。

「まずは製品の品質の高さ。それに加え、販売、設計、製作や工事・メンテナンスサービスを含めた一貫体制を長きにわたり供給してきたことが強みと考えています。我々の設備は非常に頑丈でリピート率も高い。リピートは入替までの30年に満足いただけた証左に他なりません。当社では人材が今まさに過渡期を迎えており、長らく会社を支えてくれたベテランが徐々に会社を去っています。販売、設計、製作、サービスのいずれが欠けても製品の品質低下を招きますから、いかに人材を確保し育てるかが今後の課題です。培った知見を余さず引継ぎ、一層の品質向上を目指します」

——販売を強化したい製品は。

「我々の主力は垂直搬送機。しかし足元では資材価格が高騰しており、価格転嫁を進めていますが収益性の強化も課題です。そこで垂直搬送機+αの分野、すなわちパレスルーやパレタイズロボット、エクステナーなどの製品群を強化したいと考えています。これらはお客様との会話をもとに作り上げた、現場の課題に即した製品。我々が頭で考えるものと実際にお客様が必要とされている製品には開きがあり、ヒントは常にお客様の現場にあります。現場発信で今後必要とされる設備を開発し、改良を重ねて使いやすく進化させる。この流れを加速し、売上をさらに伸ばしたいと思います」

——中期的な目標を教えてください。

「現在、主力の奈良工場の近くに第二工場を建てる計画を進めています。旺盛な需要に対し生産スペースが手狭になっており、新製品を伸ばしていくうえでも広いスペースを確保する必要があるからです。現在の売上高はグループで約75億円ですが、工場の新設や組織の整備・強化により将来的には100億円を目指します」

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人気が高まっているパレスルー。自動倉庫の前後などで通いパレットから専用パレットへの積み替えを自動化する

(2023年3月25日号掲載)