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長谷川工業 長谷川 義高 副社長

「しゃがまず伸縮できる」脚立

はしご、脚立のパイオニアメーカー・長谷川工業が7月5日、満を持して上市するのが伸縮脚立「シャガマン」。ネーミングの通り、しゃがむことなく脚部の伸縮を可能にした製品の開発の背景を、同社・長谷川義高副社長と技術部・田中良和部長に聞いた。

職人の負担減・作業効率化に貢献

シャガマン.jpg

従来の製品(左)、シャガマン(右)

国土交通省が2021年にまとめた「建設業を巡る状況について」によると、2020年の建設業の就業者は約492万人で、ピーク時(1997年)の685万人に比べ約28%減少している。今後もこの減少傾向は続き、2025年には約90万人の労働人口不足が予測されている。

こうした中、建設業における課題のひとつが、働き手の肉体的負荷の低減だ。技術部の開発チームは、伸縮脚立を使う上で身体にかかる負荷という側面に着目した開発を進めたという。

「建設現場に携わる約6割の方が慢性的な腰痛に悩まされているとも言われています。なかでも『しゃがむ』動作は、人体の中でも大きなウェイトを占める頭部が、カラダの中心である脊椎の上から外れている状態となり、足腰に大きな負荷がかかります。実際に脚立を使う現場では1日に何度もしゃがむ、立ち上がるといった動作をしなければなりません。この作業負荷を無くす製品の開発を進めました」

昨今では建設業にもタイムパフォーマンスの改善や生産性の向上が強く求められている。長谷川義高副社長が語る

「かねてよりユーザー様から、当社ブランドの上部伸縮脚立を求める声が数多く挙がっていました。そこで専業メーカーとして、現場で活躍されている職人さんたちが脚立を使う際に、どうすればラクできるか、次の作業に効率よく安全に取り組めるかを突き詰めた製品が『シャガマン』です。手元での操作性を追求し、脚立の設置と収納がよりかんたんに行えるので、移動時の利便性を大幅に向上しています」(長谷川義高副社長)

「シャガマン」には、下から3段目の踏ざん部分裏側に左右2分割の上部操作レバーが取り付けられている。それぞれのバーが左右の伸縮脚部に対応しており、独立した伸縮が可能。これにより段差や勾配のある現場でもしゃがまずに安定した設置を実現する。

さらに上部操作レバーの横にはサイドトリガーを搭載。人間工学に基づいた設計を採用しており、脚立を持ってすぐに感覚的な操作で伸縮できるのも大きな特徴だ。また最下段の踏ざん部分には、下部操作レバーを搭載。6㍉ピッチで伸縮できるため、微妙な段差でも確実な設置が行える。

「開発を進める中で、上部操作レバーだけでも良いのではないかという意見も出ましたが従来の伸縮脚立は下部での操作が一般的で、それに慣れていらっしゃるユーザー様も少なくありません。こうしたニーズにも対応できるよう、下部操作レバーを取り付けました」(田中部長)

天板裏には同社脚立でお馴染みの「ワンタッチバー」も標準搭載。従来は左右の開き止めを外してから畳む必要があったが、ワンタッチバーなら握るだけのワンアクションで開く、畳むを可能にしている。

最大使用質量は100㌔、伸縮部は最大31㌢まで高さ調整が可能。天板高さ102~133㌢の「RYR―12」から191~222㌢の「RYR―21」まで全4種類をラインナップしている。

「『シャガマン』のキャッチフレーズは『立ち上がれ 職人(ヒーロー)たち』です。日本の現場を支えるヒーローたちが少しでも楽に、効率よく仕事を進めてもらえるように開発した自信作です。ぜひ実際に手に取って、使いやすさを実感して頂けたら嬉しいです」(長谷川副社長)

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「シャガマン」のサイドトリガー

2023625日号掲載)