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新富士バーナー 常務取締役 営業部長 小黒 正宏 氏

企業備蓄にシングルバーナー採用増

工業用バーナー分野でトップシェアを誇る新富士バーナー。アウトドア向けブランド「SOTO(ソト)」は、東日本大震災をきっかけに「防災」分野でも注目を集めてきた。本紙は2014年7月に同社・営業部部長の小黒正宏常務取締役にアウトドアと防災についてのインタビューを行った(過去記事はQRコードから)。そこから約10年、災害級の流行となった新型肺炎の感染拡大によって再び急伸したアウトドア市場。小黒常務にアウトドアと防災について改めて聞いた。

小黒常務と2021年に竣工した新工場。空調設備や特注の部品洗浄機の導入に加え、溶接専用ブースを新設するなど、現場の労働環境を大幅に改善した

50周年に向けて組織改革を進める

——2014年にも東日本大震災後の防災意識の高まりを受けてインタビューさせていただきました。そこから約10年、新型肺炎の流行を経てアウトドアはより身近なものとなりました。

20年、21年は売れ過ぎと言ってもいいくらいの状況でした。加えて、キャンプは従来、家族で楽しむのが一般的でしたが、新型肺炎禍にはソロキャンプやシニアキャンプなど様々なスタイルが確立され、マーケットが大きく広がりました。そうした中で、高性能かつコンパクトでポータブル性・収納性の良いアウトドア用品を災害備蓄に活用する試みも再び注目されています。また、当社の製品は比較的入手しやすいカセットボンベを使っているため、防災向けとして手に取りやすいのが特長です」

——アウトドア×防災のマーケット変化はありますか。

「企業防災や備蓄に採用されるケースが増えています。14年のインタビュー時にも官庁での採用が決まったとの記述がありましたが、官庁だけでなく自治体や企業でも当社の製品の採用が広がっています」

——自治体や企業備蓄でおすすめの製品はありますか。

「自治体向けですと2口バーナー『ST-527』、企業向けで一番売れているのはレギュレーターストーブ『ST-330』と『ST-340』です。ST-340はコンパクトかつ火口径が66㍉とファミリーキャンプなどでも使えるサイズなので、オフィスなど人が集まる場所の備えとしては最適です。焚火とは違い屋外の過酷な環境でも安定した火力を簡単に確保・維持できるため調理しやすく、ストレスの多い避難生活の質向上に役立ちます。また、一つのカセットボンベの付け替えで、ランタンやトーチとしても使える応用性の高さも採用の理由です」

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レギュレーターストーブ「ST-340」は企業備蓄に最適な一品

——前回のインタビュー時にはイベントのお話もありました。そうした取り組みに変化はありますか。

「イベント事は新型肺炎の流行で一時完全にストップしてしまいました。今年はアウトドア系のイベントに積極参加しているので、防災関連のイベントも再開していきたいと考えています。以前は年に数回、自社イベントを行っており、そこでは『火育』という子供たちに火と触れ合ってもらうための取り組みも行っていました。近年、子供が火に接する機会がどんどん乏しくなってきている中、バーナーでテント用の名札に焼き印を押す体験などを通して、小さなころから火と慣れ親しんでもらうことが、当社の使命であると考えています」

——設立50周年という数字も見えてきました。先が見通しづらい時勢ですが、50周年に向けてどのような取り組みを行っていきますか。

「現在思案中ですが、製品づくりに関しては新しいことに積極的に取り組み、いいモノを作っていこうと社内で話しています。特にSOTOは非常に強いこだわりを持って製品づくりをしてきました。その製品の良さが市場でのブランド価値を築いたと思います。これからもいいモノを喜んで買ってくれる人にしっかりと製品を届けていきたいと考えています」  

「また、一般的に会社は50年でなくなるとの見方もあります。もう一度各部署を総点検して今の時代に合った組織に再構築し、社員に寄り添う企業にしていきたいと個人的には考えています」

(2023年8月10日号掲載)


以下前回のインタビュー

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