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アーモス 代表取締役 田賀 俊行 氏

ダクト火災を内部可視化で根絶

アーモスのダクト内監視ユニット「T-SENSOR」に注目が集まっている。ダクト内堆積物を遠隔監視できるため、メンテナンス業務の省力化・DX化に取り組む大手自動車メーカーの工場などで採用が増えている。開発経緯や製品特長を同社の田賀俊行代表取締役に聞いた。

——ダクト内監視ユニット「T-SENSOR」の特長を教えてください。

T-SENSORは、業界初となるダクト・ダンバー内部の監視・温度測定システム『TMST-SENSOR Monitoring System)』の中核ユニット。現在販売している『T-1000J』は、LEDライト付きカメラと温度センサーを搭載しているため、ダクト内の汚れや埃の堆積状況の撮影や温度変化の常時監視を簡単に行うことができる。これまで、ダクト内の状況確認は人が現地に行っておこなっていたが、本システムを使えば遠隔からダクト内部の撮影・監視がおこなえる。また、設定温度以上の温度上昇を感知した場合、アラートを発するので、万が一火災が発生してしまった場合の初動対応にも役立つ」

——なぜダクト内監視に着目したのですか。

「当社は工場の換気設備などの設計・施工からメンテナンスまで手掛けるアガタからスピンアウトした。現在、ダクト業界ではメンテナンス人材の確保が難しくなってきており、労働集約型産業からの早期脱却が求められている。ダクト火災の主因は清掃・メンテナンスの不足であるため、これまで見えなかったダクト内を見えるようにすることで、メンテナンス時期の適正化やコスト低減に貢献できると考えた」

——市場からの反応はいかがですか。

 「(20219月の)販売当初は試験的な購入が多かったが、1年ほど使用したユーザーからのリピート購入も増え、現在、月100200本程度引き合いがある。増加傾向にある飲食店でのダクト火災に対する東京消防庁と焼肉チェーンとの実証実験では、厚みセンサー付きの新モデル「TK-2000J」(241月発売予定)が活用されており、飲食店でのダクト内点検の義務化が決まるとさらに需要は伸長していくとみている」

——厚みセンサー搭載によるメリットは。

「開発当初、厚みセンサーの搭載は飲食店での点検義務化向けの付加的な要素として考えていたが、堆積物の厚みを手軽に測定できることで、これまで人の経験値によっていたメンテナンス時期の設定を、数値データから誰でも適切に判断できるようになる。そのため、見える化・DX化に積極的な企業から、購入したいとの問い合わせをいただいている」

——今後の方向性について教えてください。

「まずは新しく発売するTK-2000Jを含めT-SENSORの市場認知を広げていく。加えて半導体工場のクリーンルームなどでも使用したいとの声もあるので、TK-2000Jではカスタム品として特殊な需要にも対応していく。また、韓国や北米などからも問い合わせが来ているので、海外での展開も視野に入れ取り組みを加速していきたい」

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24年発売の「TK-2000J」は厚みセンサー搭載で工場のDX化に貢献する

(2023年8月10日号掲載)