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ベッセル 企画部 長田 吉生 氏

EV充電設備などに対応
ワイヤーストリッパー穴径追加

ベッセルは今年4月、「ワイヤーストリッパーねじカッター付No.3500E-5」を発売。電気自動車の充電設備やIHクッキングヒーターなどの電流量が大きい機器が家庭向けに普及し始め、許容電流の大きな芯線φ2.6㍉/公称断面積5.5平方㍉などの電線仕様が増加。また、LED照明や火災報知器、通信線などの弱電工事でよく使用されている電線(芯線φ0.9㍉やφ1.2㍉など)にも対応できるよう、適用電線サイズを見直した。開発経緯やこだわりなどを企画部・長田吉生氏に聞いた。

企画部・長田吉生氏。ワイヤーストリッパーシリーズを手に

――ワイヤーストリッパーねじカッター付の特徴は。

長田 シリーズ通じてすべて日本で生産しており、ユーザーからのフィードバックを受けて小まめに改良を加えてきたことで、芯線が切れてしまうといった不具合を極めて少なくしています。電線の太さはJIS規格で決まっているが、被覆の硬さ、芯線のねじり方も千差万別で寸法通りに作ればいいわけではなく長年の経験の蓄積が重要です。

――具体的には

長田 楕円形だと芯線を傷つけやすく剥きにくいです。真円形状にすることで芯線に当たらず絶縁体だけに刃が入るのでスムーズに被覆を引き抜けます。

――ネジカッターも付いていますね。

長田 1986年に発売した軽量薄型で持ち運びに便利な定番商品E1E2が原点となり、20196月に「ねじカッター付」を追加しました。今商品にも引き継いでいます。取り付けるコンセントボックスによって深さが違うために、ネジ長さが余ってしまうことがあります。ネジを切断することで、裏側の配線の短絡防止や中壁に当たる長さを調節できます。ニッパーやペンチで切るとネジ山が潰れてしまうことがありますが、ネジ山を潰さずに切れます。力を入れやすいようにE3E4ではハンドルを太くしましたがE5では55平方㍉の太い線を切るため流用ではなくさらにハンドルをより太く再設計しました。

――ほかに職人のこだわりに寄り添った商品は。

長田 「クイックキャッチャー3連ホルダー」を11月に発売しました。電気工事や建築現場では、腰回りを軽く省スペースにしたいニーズがあり、ほとんどの職人さんが腰につけています。もともと当社では単品で販売していましたが、職人さんは34つとつけているので連結にしました。

――色を統一していますね。

長田 職人さんは、美意識や区別のため道具の色を揃える方が多くおられます。そこで最初から色を統一しました。また現場からの声を受け、外したネジを仮置きできるマグネットプレード付もラインアップしました。

絶縁体剥離.jpg

ワイヤーストリッパーねじカッター付No.3500E-5が絶縁体を剥離する様子

(2023年11月25日号掲載)