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三井精機工業 営業本部 産機営業部 中村 圭祐 次長

三井精機、コンプレッサに宿る「精度の三井」

昨今のコンプレッサに求められる基本性能は「省エネ」と「環境対応」。そのいずれにおいて高いレベルで実現しているのが三井精機工業のコンプレッサ。「精度の三井」として名を馳せる同社のモノづくり技術が詰まったコンプレッサと、周辺機器による最新のエア供給ソリューションについて、同社営業本部・産機営業部の中村圭祐次長に訊いた。

省エネでクリーンエア供給

――昨今の販売動向をお教えください。

「設備投資意欲が旺盛だった2021~2022年は、当社工作機械とセットで、といった需要もあり、生産現場もフル稼働の状態にありました。その頃に比べると、若干下がりましたが数字としては決して悪くはありません。コロナ禍後に迎えた繁忙期が落ち着いた、というイメージですね」

――近年、貴社コンプレッサを導入されたお客様の傾向は。

「特に省エネ、環境対応といった点を意識されて購入いただくケースが、数年前に比べると大きく伸長しています。また省エネに関する補助金もさまざま打ち出されていますので、それを上手に活用されて導入されるケースも多いです」

――多彩なラインナップを展開されていますが、売れ筋は。

「安定して売れているのはやはりインバータ搭載モデルです。当社の販売比率も一定速モデルに比べ年々高まっています。インバータは高効率かつ省エネ、環境に優しいという点がお客様に認知して頂いている点も大きいです」

――環境対応といった点では、水潤滑方式や完全オイルフリー式も用意されています。

「当社の売り上げ比率で言えばまだオイル式のほうが高いですが、オイルフリーも確実に伸長しています。クリーンエアが必要な現場において、オイルフィルターの取り付けや交換といった手間とコストを加味すると、オイルフリーのほうがランニングコストでも優位性があります。またオイル交換やドレン処理も不要ですので、環境対策や長期に渡る運用を視野に入れているお客様が積極的に導入されています」

一方、オイルフリー方式のコンプレッサはオイル式に比べて出力が下がるとも言われています。

「他社製品の中には、同じ出力でもオイルフリーはオイル式より2~3割エア吐出量が下がるものもあります。しかし当社のオイルフリー製品はオイル式とほぼ同等の吐出量を実現しています。当社は工作機械メーカーでもあり、キーパーツには自社製の工作機械で高精度加工したものを使用しています。営業サイドの視点からも、自信を持ってお勧めできる製品です」

■求められる稼働の可視化

――コンプレッサは製造現場における心臓とも言える存在で「止まらない」運用が大前提となります。

「当社では予兆保全にお使い頂ける遠隔監視システムとして『Z-Cloud』と『Z-MateⅡ』を用意しています。前者はクラウド上にデータを集積し、インターネット上で稼働状況を監視するシステムです。こちらは異常及び保守点検時にはメールを自動送信し、迅速なサポートを実現します。後者は構内LANに接続された各コンプレッサの運転状態をモニタリング・操作するシステムで、オンプレミスでの運用が可能です」

――稼働監視システムを採用するユーザーは増えていますか。

「既存設備の入れ替えや新規導入のお客様にご採用頂くケースが徐々に増えています。お客様のほうから『稼働監視システムはないの?』と聞かれる場合もあります。現状は液晶モニタ式ITタッチパネル搭載機種のみの対応となっていますが、今後より多くのお客様にお使い頂けるよう、すべての機種で対応できるよう統一化を進めています」

――省エネに直結する台数制御システム「Red-CX」についても教えて下さい。

「複数のコンプレッサを消費空気量に応じて、必要な圧力範囲の中で最小台数の運転で省エネに繋げるのが『Red-CX』です。最大8台まで制御可能で、お客様の現場に合わせた詳細な設定と必要なエア吐出量に応じた最小台数の運転により省エネを実現します」

――中村次長は先月までタイに赴任されていたそうですが、東南アジア圏においても稼働可視化や省エネ、環境対策といったニーズは顕在化しているのでしょうか。

「タイでも大手を中心にかなり進んだ取り組みを行っていると感じています。コンプレッサの商談においても、どういったデータのアウトプットが出来るかという点を聞かれるお客様も非常に多い。いまやアジア諸国でのセールスは、安かろう悪かろうでは通用しません。コンプレッサには環境性能と省エネ、コネクテッドといった点も求められています」

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水潤滑インバータオイルフリーコンプレッサ「i-14000X」

(2023年12月10日号掲載)