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識者の目

真潮流~23

電子メールの有効性とリスク
-人間的な繋がりを深める有効なツールに-

最近、電子メールのお陰で容易にコミュニケーションが取れるようになり、筆無精の筆者にとっては、とても有り難く感じている。以前は、何かして頂いても、筆無精のため、なかなかお礼状を出せずに、失礼することが多かった。

その筆不精に加えて、ワープロのお陰で、あまり字を書かなくなり、字がうまく書けなくなったことから、さらに億劫になり、お礼のタイミングを失していた。ところが、最近は、電子メールのお陰で、何とか礼を失すること無く、感謝の気持ちを伝えることが出来るようになった。また、メール内容は、ワープロ機能を使って、何回でも推敲できるので、自分の気持ちをより丁寧に伝えることができるのも大きなメリットと感じている。

著者の博物館では、毎年、特別展や講演会などの各種企画を実施するが、そのご案内を、より多くの皆様に関係各位として電子メールにより一度に発信している。電子メールは、発信する側に取っては、情報量とその迅速性から大変有効な手段となっており、また、メールを受信する側に取っても、展示会、講演会、セミナなど、各種イベント情報がタイムリーに届くので、有効な情報源になっている。このように、電子メールは、効率的で迅速なビジネス活動には欠かすことのできない有効な手段と言える。

悩ましいのは、お願いメールである。お願いする側としては、一度に多くの関係者にお願いができるので効率が良いと思われる。しかしながら、お願いされる側にとっては、効率が良いからと、多くのお願いメールが届いたら迷惑と感じるのは明らかだ。また、各位宛の一括送信でお願いが届いても、まともに対応する気持ちにはなり難いものと思われる。博物館としても、関係者にメールにて一括送信でお願いさせて頂くこともあるが、回答率が悪い場合もあり、その際には、再度個別にお願いするといった対応が必要となっている。

やはり、お願いは、手間でも個人名宛でお願いをした方が、お願いされる方も、依頼者本人からの直接のお願いとして感じ、積極的に対応しようという気持ちになるものと思われる。最近は、個人名宛てで、自動送信可能なメールソフトもあるようで、個人名でメールが届く場合が増えているが、これだけでも随分気持ちは異なるように思われる。

著者としては、重要案件についてのお願いをする場合は、人数が多少多くても、1人ずつ個別にお願いをすることにしている。その方が、返信率も高いし、お願い内容に対するご対応もきちんとして頂ける結果となっている。これが、人間関係というものだ。やはり、お願いは、できる限り個人宛にし、依頼者名を明記し、礼を尽くしてお願いをするのが理想と言える。

一方、最近、退職、退任などのご挨拶が電子メールにより送られてくることも多くなっている。郵便であれば、個人宛に個人名の書かれた封書やはがきが送られることになるが、メールの便利さもあり、各位として、一斉にBCCで送られてくる。単なる退職・退任のお知らせの主旨であれば良いが、これでは、発信者の今後共もよろしくの気持ちはあまり伝わらないものと思われる。

また、年賀状でも、電子メールによる一括送信方式が増えている。電子メールでも悪くはないと思うが、送信文は共通としても、やはり、個人宛として、それぞれのお付合いに応じて、一言付け加えて送ることにより、今年もよろしくの気持ちが伝わるものと思う。

電子メールという便利なツールのお陰で生まれた時間的余裕を有効に使うことにより、自分の気持ちを丁寧に伝え、人間的な繋がりをより深めたいものだ。

日本工業大学工業技術博物館 館長 清水 伸二
1948年生まれ、埼玉県出身。上智大学大学院理工学研究科修士課程修了後、大隈鐵工所(現オークマ)に入社し、研削盤の設計部門に従事。1978年に上智大学博士課程に進み、1994年から同大学教授。工作機械の構造や結合部の設計技術の研究に従事し、2014年に定年退職し、名誉教授となる。同年、コンサル事務所MAMTECを立ち上げるとともに、2019年4月には日本工業大学工業技術博物館館長に就任した。趣味は写真撮影やカラオケなど。