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森鉄工所、半導体受注への最後のピースが「ソノクリーナープラス」

カイジョー「ソノクリーナープラス」で半導体向けサンプルワークを洗浄

森鉄工所(京都府久御山町)はわずか6人の規模ながら材料調達に始まり、フライス加工、旋盤加工、ワイヤ放電加工、平面研削、溶接、焼き入れ、表面処理、最終検査まで一気通貫で行う。また他社が加工したワークの追加工や修正なども対応する。高い技術をもって半導体関連の受注を目指し、最後のピースとしてカイジョーの超音波洗浄機「ソノクリーナープラス」を導入した。森昭浩社長に技術力や今後の展望を聞いた。


――どういったお仕事が多いですか。

 経営の安定化もあり幅広い受注を目指しています。自動車業界からの受注がこれまで多かったですがEVシフトも見据え、自動車産業を大切にしながらも粉体事業やスリッターなど多様な業種からの受注を増やしました。さらに半導体製造装置メーカーからの受注を目指しています。将来的には売り上げの5割まで持っていきたい。

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(写真=森鉄工所 森昭浩社長 「趣味が機械いじり。商売が好調な時でも高級車の購入に回す資金があれば設備投資に回しました。そのおかげで自信をもって営業ができます」と笑う。)

――自動車向け生産機の部品で高い技術力を誇っていますね。

 鉄の塊から削り出すほうが楽で、溶接構造や鋳鋼鋳型の素材から機械加工するのは同業者は自ら進んでやりたがりません。治具クランプで固定して加工するのですが、力任せに締めると反りが一時的に矯正される。このまま加工すると、クランプを外すと元来の反りが出現します。締めの強弱やバランスで元来の反りを残してクランプして、加工で反りを矯正し平面度0.01及び平行度0.01以内に収めるんです。

――溶接まで内製化されていますね。

 機械加工のことまで考えて溶接してくれる専門業者は少ないです。基準になる2面を持つ材料を溶接するなど、自社なら機械加工に適した溶接が可能で、精度も上がります。溶接だけでなく、多くの加工を内製することでコストも下がり納期も早くなります。

――6人規模でここまで総合的に加工できるところは多くはないですね。

 例えばワーク横面のドリルやタップ加工の仕事が多く来ます。5軸加工機を多くそろえた中規模以上の加工会社なら横穴加工自体は簡単ですが、時間チャージが2倍から3倍なので採算があいません。アングルヘッドという特殊なツールを使いますが、小規模のところはNCプログラムを作成できず手でグルグルとハンドルを回しています。S50Cのワーク横面にφ10、深さ200㍉のドリル加工を行うのにこのような方法ではかなり無理があります。

――半導体関連からの受注を目指されていると。

 4年前、半導体製造装置メーカーの担当者と名刺交換した際、「似たような業者は必要ない、せめてφ300㍉やφ400㍉の旋盤加工でも出来ればチャンスが無いこともない」と助言を頂き最大加工径580㍉の旋盤を導入しました。それから2年程φ400㍉オーバの製品を集中的に受注し大径加工のノウハウを習得し、満を持してサンプルを持参しました。

■あと一歩届かず

――どうでしたか。

 製品の見た目は良かったらしいのですが脱脂が不十分であるのと、洗浄に対する当社の姿勢の甘さを指摘されました。半導体製造装置業界が求めるレベルに油を完全に除去するには当時の設備と知識では限界がありました。洗浄工程のみ外部委託という方法もありますが運送時、洗浄時に万が一傷などが付くことが心配で社内で洗浄できないかと考えました。

■決め手はメーカー担当者の洗浄の知識と情熱

――超音波洗浄機の導入を決意したのですね。カイジョー「ソノクリーナープラス」に決めたポイントは。

 まずはφ500㍉、φ600㍉を洗える大きさと、リーズナブルさがありソノクリーナープラスに決めました。性能はもちろんですが営業担当者とサポート担当者が知識をしっかりもち、アドバイスをもらえた点が大きい。洗浄について知識がない私に手取り足取り教えてくれました。他社のデモ機も使いましたが、ソノクリーナープラスのほうが落ちがいい気がしますよ。性能の差があるのかもしれませんが、それ以上にこういう場合はどういう洗剤を使うかなど、ノウハウを惜しみなく教えていただいたからだと思います。

――部品の油のニオイはなくなりましたか。

 はい。超音波洗浄機「ソノクリーナープラス」を使用し洗剤とオプションのヒーターによる温水を組み合わせて小径穴の奥の油分まで取り除きます。またトリートメントには純水を用います。ほかに半導体製造装置用部品の専用の車両まで購入して、納品時の梱包用の箱に微量の油分が着くのを防ぎます。

――半導体向け以外の製品の洗浄は楽になりましたか。

 半導体関連ほどでなくとも部品洗浄は欠かせません。いくつかの面倒な工程がありましたがソノクリーナープラス導入で、漬けておくだけの簡単な作業になり全体的に業務が効率化されました。

――いよいよ半導体向けの実際の受注へ営業活動ですね。

 半導体製造装置の部品の受注に向け、最後のピースである超音波洗浄機がはまって準備は万端です。長い間、取引を希望している装置メーカーとは別に、平行して他社メーカーにも営業を始めたところ、送った会社案内をご覧になって担当者より名刺交換の機会を頂きました。私は名刺交換の後、直ぐに当社の何処に興味を持たれたかお聞きしました。会社案内の洗浄機のページを開けて「超音波洗浄機を備えて洗浄をしっかりしてくれそうだから」とまず仰って頂きました。

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(写真=半導体向けSUS304φ280旋盤加工サンプル洗浄済み)

2024125日号掲載)