日本物流新聞生産財と消費財の業界専門紙として半世紀を超す実績。
日本物流新聞社のWEBサイトでは、
ものづくりを支える工作機械、工具、ロボット、産業機器等の情報から、
ハウジングはじめ住まい・暮らしの様々なニュースをお届けしています。

検索

News

オーエスジー、国内工場30年ぶりのリニューアル

オーエスジー(株)

新城で多品種少量生産

 オーエスジーが約30年ぶりに国内マザー工場の大規模なリニューアルに踏み切った。今年10月にすべての工事が完了した「NEO新城工場」がそう。多品種少量生産を実現させるために、デジタル化の徹底で工程の見える化を図った。
 生産するのは、超硬ドリル、超硬タップ、ハイスドリル、ハイスエンドミルだ。月産能力は70万本以上。6千種類、8千ロットに対応する。
 超硬ドリルと超硬タップは1ロットあたり20本以下がほとんど。広報担当者は、「200本もあればかなり多い方。この規模の工具工場で、これだけの多品種少量生産に取り組んでいるのは、世界中でも恐らくNEO新城工場だけでは」と推測する。
 標準品と特殊品の混合生産であっても、「世界最強の競争力を持つ」のが目標だ。重視したのは製造工程の見直し。特殊品が多くてロットも小さい超硬タップと、ニーズの高まりから国内2カ所(新城・大池工場)で生産していた超硬ドリルの作り方を「できるだけ統一する」ことで、多能工化を進め、需要変動にも対応した人員配置を可能にした。
 生産、品質、設備保全に関係する情報のデジタル化も推進した。
 加工機ごとの稼働率、生産スケジュール、生産状況、流動数などを共有し、収集したデータを分析。状況に応じた最適な組み入れを行うことで、標準品、特殊品ともにリードタイムの短縮を目指している。加工された製品は、引き当て材料、加工履歴ともに、測定値を品質情報としてサーバーで一括管理。トレーサビリティーの確保を図った。
 設備稼働率を上げるために、砥石、治工具、プログラムを一括管理する「外段取り」も実施している。さらに今年10月には生産管理システムの新バージョンを導入。次世代型と位置付ける複合研削盤と自動検査装置も開発している。
 担当者は、「月あたり7千ロットも生産する工場なので、本質的に大切なことは、人の力を生かすことと捉えている。人が中心であり、ツールとしてデジタル化を進めている」と話す。
 NEO新城工場は、ロットにかかわらず、QCD(品質・コスト・納期)を満足させることができる生産体制の実現を目的としたプロジェクト「OSG40」の一環。顧客、営業、設計、製造の情報を「OPDM」(OSG Product Data Managument)で一本化し、受注力強化と利益の最大化を進めている。

(2020年11月25日号掲載)