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タカラスタンダード、主力キッチン一新

タカラスタンダード(株)

「ジャパン建材フェア」内で記者発表する渡辺岳夫社長。後ろがホーローシステムキッチンのフラッグシップモデル「レミュー」

ホーロー側面に印刷、世界初

 タカラスタンダードは828日、ホーローシステムキッチンのフラッグシップモデル「レミュー」をモデルチェンジし発売した。世界初という側面への印刷を可能とするホーロー3Dインクジェット印刷技術を用いた。
 ホーローインクジェット印刷は2015年に開発した独自の印刷技術だ。ガラス質を含むインクを利用することで、清掃性や耐久性といった水回りに最適なホーローの特性をそのままに、多彩なデザインを可能にした。ただし一般的なインクジェットプリンターと同様、部品の1面しか印刷することが出来ず、これまでは両サイドにモールをつけて対応していた。
 2022年に最大5面まで印刷可能な技術が完成し、その後キッチンへの応用に成功して今回の発売に至った。今リニューアルで、ハイクラスゾーンをターゲットにした高級価格帯での売り上げ拡大を目指す考えだ。

■新設住宅着工数減も、リフォーム需要に商機

 渡辺岳夫社長は「昨年、創立110周年を迎え、過去最高売上高を達成できた」としつつも「ウクライナ危機などの影響で原材料、エネルギー、物流コストが上昇し大きな影響を受けている。22年度の利益は残念ながら減益となった。しかし今後は商品価格改定の浸透、生産性向上の効果が出てくる。今期は増収増益に乗せられる」と分析。同社の技術革新でホーローの弱みであったデザイン性の向上を果たしてきた歴史を説明し「今回はキッチン扉の側面まで印刷できる技術を可能にした。
 創業以来ホーローにこだわり続けてきた当社だからこそ実現できたシステムキッチンだ」とレミューへの自信を語った。
 市場環境について「平成の30年間で新設住宅着工数は半減し、キッチンの出荷台数も3割程度減少した。幸いにも水回り商品の高付加価値化、つまりシステムキッチンやシステムバスの普及が進み、金額ベースではむしろ拡大した」としつつ「令和時代はさらなる人口減少で新設住宅着工数はさらに減っていく。システム商品化も一巡するだろう」と話した。「しかし私は悲観的には見ていない。コロナ禍では当初の予想に反して住環境への関心が高まりリフォーム需要が出てきた。膨大な潜在需要があり、水回りリフォーム需要はきっかけさえあれば出てくる」とし、需要開拓の鍵は自社の高品質ホーローである、との見解を示した。

2023910日号掲載)