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ロブテックス、新シリーズ「J−CRAFT99」堂々始動

(株)ロブテックス

百(完璧)を求め絶えず進化する老舗のプライド

 エビ印ブランドに裏打ちされた高い品質と信頼。これを余さずつぎ込み、「日本を代表する工具」を目指したのが、ロブテックスの高品質工具「J-CRAFT」シリーズだ。そのクオリティとユーザーが求めるデザインを融合させることで、新たなシリーズ「J-CRAFT99(ツーナインズ)」が誕生した。常に百を目指し歩みを止めない強い覚悟を、工具に刻まれた“99”2文字が静かに物語っている。
 なぜシリーズを立ち上げたのか。背景にはプロの職人を取り巻く趣向の変化がある。昨今の電気工事士や配管工事士たちはファッショナブルな作業着や安全靴を颯爽と着こなし、腰袋にも気を緩めず全力でこだわる傾向が強い。しかし腰袋に入れる工具はというと、グリップの色も様々で統一感を出しづらいのが現状だった。「コーディネートを妨げず、かつ単体でもカッコいい、所有欲を満たす工具が欲しいという声がプロの方々から届いていました」とモノづくり事業本部営業統括部営業企画チーム渡邉達哉チームリーダーは明かす。「しかも、それを『エビの品質』で作ってほしいというリクエストを数多くいただいたんです」
 第一弾として発売された工具たちは黒をまとった高級感ただようシックな姿だった。ボディにブランドロゴが配され、いわゆる「テカリ」を抑えた落ち着いた見た目は確かに自然と腰袋へ収まるだろう。モンキレンチなど磨きの入る工具への均一な着色は難しいが、試行錯誤で各工具に適した方法を導き出して形にした。やがて塗装が剥がれてゆくと、その傷もまた良い味を滲ませ格好良いのだという。
 黒を選んだ理由は「今のベスト」を捉えた結果だと渡邉氏は語る。黒は一昔前までは敬遠されがちな色。しかし昨今は重厚感や高級感のイメージに転じ、車や家電、日用品まで徹底して黒一色に染める例も多いからだ。とはいえ黒だけの展開に留まるつもりはない。「現時点でユーザーが支持する黒からスタートしましたが、常に市場を調査し、使い手がそのタイミングで最も価値を感じるベストな色やデザインを展開します。J-CRAFT99が目指すのは使い手のモチベーション向上。だからこそユーザーが求める『ドンピシャ』を形にし続けます」

■ちょっと惜しいをゼロにしたい

 使い手が求める工具を提供し続けるため開発手法も変える。職人が集まる場に足を運ぶなど生の声を可能な限り集め、「確実なニーズ」を最短距離で商品化するのだ。「評価いただいている品質は変わらず大切にしつつ、新たな領域へ挑戦したい。具体的には電気・空調・水道など業種ごとのプロに満足いただける専用工具の展開も考えています。そのために開発のアクセルも踏み込みます。社内の流れを見直し、開発サイクルにおいても従来より短縮を図ります」(渡邉氏)
 まずは代名詞のモンキレンチや圧着工具、ペンチ・ニッパ、プライヤなど汎用性の高い工具から展開。追って特定の層に刺さる工具開発に着手する。これまで同社が持たなかったドライバーやラチェットコンビネーションレンチもすでに投入済みだ。ドライバーは腰袋の中で2本が干渉しにくいスリムボディが特長。ラチェットコンビネーションレンチはギア数72で細かな作業と本締め可能な耐久性を兼ね備え、どちらにもエビ印の品質と工夫が光る。
 「J-CRAFT99で工具の『ちょっと惜しい』をゼロにしたい」と渡邉氏は展望した。「デザインは良いが機能はいまひとつ、またその逆もダメで、ユーザーに本当に求められているスペックを追求すると同時に、今の流行だけでなく次はこれが欲しいと思えるデザインもこちらから提案できるようなシリーズにしたいと思っています。使うことを自慢したくなる、品質もデザインもワンランク上の工具を目指したい。良い工具を使って高いモチベーションで仕事をすれば、施工の完成度も自ずと高まると思うんです」
 すでに一部商品が欠品するなど滑り出しは上々。初のラチェットコンビネーションレンチもクルマ向け展示会で「大好評だった」(渡邉氏)そうで、ユーザーの「欲しい」にリンクしている手ごたえがある。
 「今後は意外性のある工具の登場も楽しみにしていただければ」と渡邉氏は語った。来期は創業136年目。老舗工具メーカーの挑戦はここからますます加速する。

2ラチェットコンビネーション.jpg

(写真=代表商品のモンキレンチ以外に、同社として初のラチェットコンビネーションレンチなどもラインアップする)

2024310日号掲載)