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企業訪問:オカムラ

体感し課題解決策を創造できる展示場

AMRから自動倉庫・コンベヤまでトータル提案

ショールーム「LUX」は富士事業所内に建てられた新棟「F-cube」(奥)の1、2階に位置する

冬晴れの青空が広がる2月、オカムラの富士事業所内(静岡県御殿場市)にある物流システムショールーム「LUX」で、昨年9月から販売を始めた自律移動ロボット「ORV」に特化した見学会が開かれると耳にし、足を運んだ。


オフィス家具メーカーとして知られるオカムラは物流システム機器も手掛ける。東名高速道路の裾野ICから車で10分のところに位置する富士事業所は物流システム機器の生産拠点であり、敷地内に物流システムショールーム「LUX(ルクス)」を有する。「LUX」はLogistics(物流)×UXUser Experience:ユーザー体験)を意味し、同社の主力製品を体感できる施設となっている。

今回の見学会の主役である「ORVOkamura Robot Vehicle)」は、同社が独自に開発したかご車搬送用の自律移動ロボット(AMR)。レーザーセンサー(LiDAR)で環境地図を作成するとともに自己位置を把握し、自律的に移動する「SLAM(スラム)誘導方式」を採用しているため、磁気テープや床ガイドなどを敷設する大規模は床工事をしなくとも導入でき、レイアウト変更などにも柔軟に対応できる。かご車の最大積載質量は300㌔、最高速度はかご車搬送時で毎分40㍍、ORV単体走行時の最小通路幅は900㍉。

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かご車を自ら認識しバック走行でつかみに行く

ORVの大きな特徴は、かご車の片持ち方式とかご車認識にAIを採用している点だ。片持ち方式はORVの背面につけられた機構によって、かご車の片側をつかみ上げて一体となった状態での走行を可能にするもの。牽引式よりも小回りが利くので、その場旋回や狭い通路での走行に向く。バック走行も可能なため、垂直搬送機などの狭所への整列配置も可能だ。かご車認識AIはかご車の改造や人による位置合わせなしで、かご車を自動で検知して把持することができるもの。そのため、A地点に溜まったかご車をなくなるまで搬送といった抽象性の高い指示も可能。

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デモンストレーションは2階から見学するため、全体を把握できた

見学会ではそうした特徴を体感できるピックアップ地点から搬送先を繰り返し行き来する巡回搬送やかご車ごとに指定された搬送先へと振り分ける仕分け搬送、かご車の整列配置といったデモンストレーションが行われた。デモの最中には搬送ルートにカラーコーンが無造作に置かれたり、人が通り過ぎるなど突発的な状況の変化が起こっても、回避や一時停止などを行うORVの柔軟性・安全性の高さも確認できた。

■主要製品の動きを体感

デモや説明会が終わると来場社ごとに担当者が付き、ORVの導入に向けた具体的な相談ができる時間が1時間ほど設けられている。その時間を利用して、ショールーム内に展示されている、時間当たり最大3600個の入出庫能力を持つ多段式独立水平回転棚「ロータリーラックH」や超高密度保管を可能にするロボットストレージシステム「オートストア」などの動作を確認する企業もあった。他にも、パレットストレージシステム「サイビスターシリーズ」やロボットピースピッキングシステム「ライトピック」といった最新提案にも触れられるなど、保管から搬送、仕分け工程の省力・省人化をトータルで検討できる環境が整っている。

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奥に見えるのが多段式独立水平回転棚「ロータリーラックH」

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オートストアとMujinのロボットピッキングシステムを組み合わせた提案も

同社のマーケティング担当者は「昨年行ったORV見学会が好評であったため、2回目の開催に至った。今回も午後の部は定員に達するなど反響が大きい。今後も年数回、毎月第3金曜日に行っている通常の定例見学会の代わりにORVに特化した見学会を開いていく予定」と話す。

(2023年3月25日号掲載)