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「研削加工」自動化がいっそう進展

岡本工作機械製作所の門形平面研削盤「UPG-CHLi」でタッチプローブ機上測定するようす

仕上げ工程を担う研削加工は当然のことながら通常の加工より一段高い加工精度が求められる。最新の研削盤は電動化する自動車や高精細なカメラを搭載したスマホなどの普及に欠かせない。その強力な機能に注目した。


今どきの研削盤は大型ワークでも精密に加工できることが求められる。近年大型化がさらに高まるモーターコア金型や半導体製造装置部品のニーズに対応するためだ。岡本工作機械製作所が先月、門形平面研削盤「UPG-CHLiシリーズ」(2011年発売)に追加した3機種もそんな要求を満たす(チャックサイズ前後1000㍉の「2010」「3010」「4010」)。テーブルリニアモーターと可変静圧スライドが高精度の位置決めと高速送りを実現した。

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鏡面加工したワークを切削加工するナガセインテグレックスの成形平面研削盤「SGi-520α」

ミーリング機能(オプション)まで付けたのはナガセインテグレックスの成形平面研削盤「SGi-520α」(有効加工範囲500×200㍉)。同社は「工具を16本搭載でき、位置決め精度は±02ミクロン」と切削加工も精密に行えることを訴える。セイコーインスツルは内面研削盤「STG-3N」で最小内径03㍉に対応するなど各種拡張機能を充実させる。

長島精工が昨秋発表した成形平面研削盤「WAZA-EVOLUTION」は位置決め機能に焦点を当てて開発。同社としては初めて左右軸もボールねじ+サーボモーター仕様とし、「ピタッと止まるので複数ワークを同一テーブルに載せての加工や砥石のRを転写させるかきあげ加工、夜間の自動運転に向く」と言う。

これらの研削盤にはいずれもオプションで機上測定機能が用意されている。最新アプリケーションによりオペレーターは加工物をテーブル上に載せてサイクルスタートを押すだけで機上の加工物がMAP化され、最短・最適経路での自動研削ができたり(岡本工作)、スマートドレッサーを搭載して細溝加工や形状加工、成形加工をスムーズに行えたりする(ナガセ)。

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高剛性・高出力の砥石軸スピンドルを搭載したセイコーインスツルの内面研削盤「STG-3N」

自動化+独自色


長島精工は機上測定などで自動化を進める一方、従来機のように手作業で加工するような感覚をあえて残した。「完全にNC化してしまうと急な単品仕事が入った時に割り込ませることが難しい。人の感覚で汎用的に使える部分は残している」と言う。

シギヤ精機製作所はベッドおよび対話機能を偏心ピン/ポリゴン研削盤「GPES-30D.30」で一新させた。金型パンチや減速機向け偏心カム、コンプレッサー形状加工に向く。自動化をいっそう進めるジェイテクトはEV時代を見据え、センタ間距離320㍉までの小型シャフトを対象にした円筒研削盤「e300Gi」にツーリングパッケージ、搬送パッケージを用意した。

工具研削では牧野フライス精機の「AGE30」は砥石交換装置やワーク交換装置を標準搭載し、長時間の連続無人運転を可能にしている。

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長島精工の成形平面研削盤「WAZA-EVOLUTION」で多高位ワーク加工するようす