日本物流新聞生産財と消費財の業界専門紙として創刊来、
半世紀を超す実績を持つ日本物流新聞のWEBサイトです。
サイト独自の情報を増やしています。

検索

特集

使いやすい溶接機

「1台多役」を売りにするデンヨーの「DCW-400LSE」

将来懸念されている生産年齢人口の減少は、慢性的な溶接技能士不足をさらに加速させる可能性がある。未経験者の育成、外国人の積極的な採用が進んでいるものの、短期間で熟練工並みの精度とスピードを得ることは難しい。  そこで溶接機メーカー各社は、長年の課題を解決する製品を相次いで市場投入しているところ。「誰でも」「簡単に」「どこでも」といったキーワードがさらに色濃く強調された提案が繰り広げられている。


初心者でも高品質溶接が可能に

パネルも一層見やすく


今年2月、ダイヘンは最上位溶接機の新型モデル「WelbeeⅡ」に、CO2/MAG自動溶接機4機種を追加した。昨年12月に続く第2段として、スタンダード機(350A500A)、低スパッタ機、屋内から屋外まで多様な使い方が可能な多目的機をラインナップに加えている。

豊富な情報を表示できるLCDパネルを採用。使用頻度の高いボタンのみ表示することで直感的な操作を可能にした。溶接法やワイヤ材質といった溶接モードの情報だけでなく、内部機能の詳細、エラー発生時の対処法なども表示できる。

初心者からベテランまで機能をフル活用できる工夫の一つで、「取扱説明書を見る必要がなくなるため、作業効率が向上する」という。パネルの表示言語は、同社ホームページから無償ダウンロードできるソフトウェアで変えられる。

板厚と継手形状を選択するだけで、溶接条件を自動設定する「溶接ガイド」機能を搭載。溶接に不慣れな初心者、普段使用しない材料など、時間のかかる条件調整作業の効率化を図れる。

低スパッタ機「M350LⅡ」に搭載しているCBT―EXモードは、低電流から中高電流域までスパッタの発生を大幅に低減する。「CO2溶接でもMAG溶接並みのスパッタ量でスパッタ除去工程を減らせる」としている。

多目的機「M500GSⅡ」は、直流ガウジングとセルフシールド溶接を標準搭載した。はつり作業や屋外現場溶接などで活躍する。WelbeeⅡ全機種に直流手溶接と直流TIG溶接(タッチスタート)を搭載しており、ワークに合わせて最適な溶接方法を選択できるようにした。

溶接終了後、パネルに溶接時間やワイヤ消費量などの結果が表示される機能なども盛り込んだ。専用リモコンには切替ツマミを用意。よく使う機能を割り当てることで、溶接電源に戻る頻度を減らせる。

溶接特集1ダイヘン-NB210410.jpg

ダイヘンは豊富な情報を表示できるLCDパネルを採用した

「使いやすさを形にした」

パナソニックは、昨年10月にバージョンアップしたフルデジタル交流・直流両用TIG溶接機「YC―300BP4」をそう評価する。アルミとステンレスに対して薄板高品質溶接が容易になったからだ。

交流TIGに「SP波形」(特許出願中)を採用。広がりを持たせながらも、芯の強い安定したアークで、ビード幅を細く均一にしたり、狙いやすいうえに溶け落ちを防いだりといったことを可能にした。標準400Hzの品質を、200Hzで実現するという。

直流TIGは、これまで500Hzだったパルス周波数の上限範囲を1000Hzまで広げることで、アークの指向性向上を図った。さらに直流溶接では、新たにパルス機能を搭載。ワークの入熱を抑え、溶け落ちや立ち向かい時のビード垂れを防止した。

条件は、操作パネルの左から「自然な流れ」で設定できるボタン配置に。設定に迷った場合、「溶接ナビ」として液晶画面から▽材質▽板厚▽継手▽溶接姿勢▽パルスの有無を選択すれば、100種類以上のデータベースから最適な条件を自動決定してくれる。ソフトバージョン200から機能を強化。推奨ガス流量、推奨電極径の表示を追加した。

デンヨーが2月に発売したばかりのディーゼルエンジン炭酸ガス溶接機「DCW―400LSE」でアピールするのは「1台多役」だ。炭酸ガス溶接だけでなく、手溶接、ガウジング、三相・単相交流電源など、幅広い用途で使えるように進化させた。

新製品は「DCW―350LS」の後継機。炭酸ガス溶接の最大電流を400Aまで引き上げることで、最大ワイヤ径14㍉まで適用可能にした。手溶接、ガウジングでも400A出力まで対応しており、作業効率の大幅な向上を図った。

手溶接は作業内容に応じて、定電流特性と垂下特性をワンタッチで切り替え。「アーク特性」のボタンを押した後、ツマミを回すだけで短絡電流を調整できる。溶接モニタは、ワンタッチ切替を念頭に置いたシンプルなデザインに刷新した。

溶接制御には、2019年に発売した「DCW―500LSE」と同じく、インバータを採用した。低電流から高電流まで安定したアークが得られるうえ、電動変動の抑制から「ビード端の揃った美麗な外観に仕上げられるようになった」とする。

点検・整備などで漏れた油脂類を、本体のベース部分に受け皿として溜める「エコベース」を標準装備した。環境負荷低減を求めている現場でも安心して使えるようにするための対策だ。エンジンオイルなどを機外へ極力流出させない構造で、雨水も侵入しにくいように設計した。


いつでも、どこでも使える


shindaiwaブランドを展開する、やまびこジャパンが「革新の次世代機」「快適・快速『新感覚』溶接機」と謳った機種がある。ワンダスティック溶接機「HDW310M」だ。

そこまで豪語する理由は、溶接も、発電も、使いたいときにすぐ使えるから。キャパシタ充放電とインバータ発電技術を融合させた制御システムによるもので、アイドルストップ状態からでも「格段に速いアークスタートと、強くて粘りもあるアーク特性を実現した」とする。

常に安定したアーク特性によって、手ブレによる電流の変動幅が低減。出力調整ダイヤルで絞っても特性が変わらず、立ち向き肉盛り溶接での溶け落ちを解消した。

アークスタートは、溶接棒が母材に触れただけで、瞬時にアークが発生するほどの速さ。発電もアイドルストップ状態から、スイッチをONにしただけで作動する。現場でのグラインダー作業などを想定し、単相100V―3kVのインバータ発電を装備した。

コンピュータ内蔵製品やマイコン制御の各種電動工具に使えるのも売り。「商業用電源と同等の正弦波に近いきれいな波形で、照明器具のチラつきの少ない良質な電気」としている。燃費と騒音を抑えた点もアピールポイントに挙げる。燃料は同社従来機比で約60%節約。運転音は55dBまで抑えた。

移動が多い作業シーン、電源が取れない現場でとくに活躍するのがポータブルタイプだ。育良精機はアーク溶接機「ライトアークシリーズ」として、継ぎ足し充電が可能な高性能リチウムイオンバッテリー内蔵モデル「ISK―Li200A」を昨秋追加した。溶接電流は2~200A5㍉溶接棒も使える大電流・大容量機として提案している。

バッテリーマネジメントシステム(BMS)を搭載した。過放電、過充電に対する警告や温度監視に加えて、充電回路の制御でバッテリーの劣化を防げるのが特長。電撃防止機能や短絡保護機能と合わせて、より安全で確実な溶接作業を可能にした。

使用中の設定値を自動で記録し、起動時に自動で読み込むメモリー機能も搭載。そのほかにも点付のアークスタートを向上させるモード、出力特性を制御するソフトスタート機能を盛り込んだ。

同クラス最軽量の35㌔グラムに設計した。本体高さは500㍉。楽に移動できるキャスターが付いている。ガソリン駆動タイプに比べて、排出ガスもなく、静音性にも優れていることから、夜間や住宅地でも騒音を気にせずに使える。

ポータブルタイプから、パルスTIG溶接機「ISK―Li160TIG」もラインナップ。本体重量は片手で持てる18㌔グラムまで軽くした。非接触でアークが起動する高周波高電圧スタートを「業界で初めて」搭載した。