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連載 扉の先〜自動化時代の挑戦者たち

扉の先48/難易度高い上位システムを担う

【コスモ技研】目指すは「止まらない工場」

ロボットと3Dビジョンセンサー(上部)を組合せてランダムピッキングを行う装置を紹介する営業技術部の柴田和宏部長。吸着とクランプのダブルハンド機構としていることがポイントと語る。

ロボットと3Dビジョンセンサー(上部)を組合せてランダムピッキングを行う装置を紹介する営業技術部の柴田和宏部長。吸着とクランプのダブルハンド機構としていることがポイントと語る。

斜体で書かれた「COSMO」のロゴが映える全面ガラス張りのシックな社屋(3階建て、2011年竣工)。次世代スマート工場の構築を構想設計から担うロボットSIer、コスモ技研(愛知県小牧市)の自社ビルだ。社員30人の規模ながら昨年増築し、事業の堅調さが窺い知れる。

「医薬・化学関係などクリーン環境の業界の仕事も多く、小汚い社屋ではイメージがよくない。ブランディングしていきたい意図もあって」

瀟洒な外観に話を向けると、同社営業技術部の柴田和宏部長はそう照れ笑いする。同社は機械設計(詳細設計まで)、電気制御、組立、現地据付調整までを担い、年に56件の大型案件を受ける。「我々はプロ技術集団。FAに関わることなら自社ですべてカバーし、IoTAI、ビッグデータをひっくるめて自動化設備の上位にあたる情報系システム(製造管理システムなど)の提案、構築を行っている」と柴田部長。顧客は化学・重工業・工作機械・航空・医療・医薬・食品業界など。オークマ(本社工場、可児工場)、LIXIL(茨城工場)、川崎重工業(名古屋第二工場)などを手がけ、「当社が引き受けるのはシステム構築の難易度が高く他社が手を引くような案件。5千万~10億円のレンジが当社の能力を一番発揮できる」。

難易度の高い案件とはたとえば700㌔グラムに及ぶ重量物製品を振り回したり、約1200℃の高温製品をハンドリングしたり。2D3Dカメラを組み合わせた複雑形状ワークのバラ積みピッキングもある。

プロ技術者集団と謳うだけあって、機械設計と電気制御担当者がそれぞれ13人ずつと社員全体の87%を占める。営業技術担当者3人を含めほぼ全員がロボットを触れると言う。「営業専任者はおらず、皆が1年の半分は現場にいることになる。私も明日は九州へ行く」とあちこち飛び回る。

■第2層を担う

仕事の受注はシステムを納めた既存顧客およびその紹介のケースが7割、ウェブサイトからの問合せが2割、あとは商社からの紹介が占める。

同社はもともと、ロボットを中心とした周辺設備一帯をロボットシステムとして提案していた(第1層と定義している)が、4年ほど前からはAIIoT・ビッグデータを用いて自動化設備の上位にあたる情報系システム(第2層にあたる製造管理システムなど)の構築にも携わるようになった。ビッグデータも扱うMESManufacturing Execution System=製造実行システム)構築を含めた提案は6~10億円の案件になり、これまでの実績は4件。何を目指すのかを問うと柴田部長はこう話す。

「当社が一番重きを置いているのは『止まらない工場』。機械に100%はないが、万一不具合が発生しても、瞬時につながるVPNVirtual Private Network=仮想の専用ネットワーク)を用いて設備の状況はカメラで、電気制御(プログラム)の状況はパソコンで確認し、早期解決を図っている」