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連載 扉の先〜自動化時代の挑戦者たち

扉の先51/リピート増すMC・ロボ・治具の一括納入

【大見工業】精密切削と工事用の稀有な工具メーカー

6軸制御の工具研削盤が20台ほど並び、そのすぐそばに設置した3次元検査装置でワークの品質を担保する。工具研削盤の数に対して作業者の数が極端に少ないのは、ATCとワークストッカーの付いた牧野フライス精機製研削盤は8台を1人が担当し、独ワルター製は6台を1人が担うからだ。加工機は1〜2時間は動き続け、1台のマシンで平均約15分で製品ができるという。

6軸制御の牧野フライス精機製工具研削盤が並ぶ本社・工場

こんな自動化を推し進めているのは大見工業の本社・工場(愛知県安城市)。ここでドリル、リーマ、エンドミルなど自動車・航空機分野向けの精密切削工具を年間5万本ほど製造し、2012年に操業を始めた島根益田工場(島根県益田市)ではホールカッター、チップソー、タケノコドリルなどの工事用工具を年間約30万本製造する。島根益田工場はこのほど刷新し、12のラインを設けて基本1人・1ラインの3交替体制で24時間稼働する。

「仕様のまったく異なる2つの工具をつくるメーカーは珍しいと思う。平均単価も精密工具15千円、工事用工具は2500円と大きく異なる。でも景気の波が違うので事業を安定化しやすいうえ、相乗効果も見込める」

5代目社長の大見満宏氏はそう話す。ミクロン台の加工精度が求められる精密切削工具は、本社・工場で冒頭のように工程集約を進めたセル生産で製造。ミリ台の加工精度を満たす工事用工具は島根益田工場で工程分割したライン生産で製造する。国内生産を貫き、工事用工具はやや価格高になるが、それでも販売は好調と大見社長は言う。

「精密工具で培った製造ノウハウが生かせ、工事用工具も高品質を維持できる。刃形状にこだわった精密なイメージをもってもらえることもプラスに働いている。高級な材料を扱うユーザー様は安い刃物を使いません」

■東南アジアで需要増す30番MC

2つの工具事業に加え、同社は2008年からはFA事業を始めた。ロボット、工作機械、刃物、ツーリング、治具などを1ストップで納める。ユーザーにとって利便性が高いため、「リピータビリティーが高い。FAには様々な製品が組み合わされるので、お客様が複数の会社にお願いしたのでは不具合が発生した際にその要因を見つけ出すのが大変だろう」と大見社長はリピーターの多い要因を話す。「初期に搭載した刃物の6割は継続して利用してもらえる」と言い、FA導入時に切削工具類を併せて納入できるメリットはかなり大きい。

ロボットのティーチングなども担い、自動化設備は2019年ピークにはロボットベースで年間約170台納めた。主軸30番のマシニングセンタ(MC)を組み合わせた設備の需要が海外で高まっている。FA事業を担う同社テクニカルセンターは納入前の設備が2週間から2カ月サイクルで入れ替わるため取材時には空だったが、7月にインドネシアの自動車関連企業へ出荷するMC11台入荷する運びにある。