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連載 扉の先〜自動化時代の挑戦者たち

扉の先53/ロボットのまち南相馬から世界へ

【ロボコム・アンド・エフエイコム】ロボSIerが手がける「本気のDX工場」

2011年3月、東日本大震災による甚大な被害を受けた福島県南相馬市原町区。かつて津波が押し寄せた場所は、土地改良と大規模なかさ上げが行われ、南相馬復興工業団地として生まれ変わった。

自動化された工場内

この地に「いの一番」に名乗りを上げたのが、ロボットSIerによるコンソーシアム「チームクロスFA」の中核企業ロボコム・アンド・エフエイコム(天野眞也代表/飯野英城代表、以下R&F)だ。

震災以降、漸減傾向にある福島県のモノづくり。にもかかわらず、同地を選んだのは工業団地にさきがけて開業していた福島ロボットテストフィールドの存在だった。

「ロボットの利活用で新たなイノベーションを起こそうという意欲を持つ企業や関係者の熱気で溢れていた。こうした方々と交流を深めていくうちに、新たな技術開発やビジネスに繋がる、という手応えを得られた」(同社広報・山口仁氏)。

本年6月末にオープンした「R&F南相馬工場」は本館、研修施設、加工工場からなる。本館1階部分にはアパレルピッキングロボット、番重仕分けロボット、弁当盛り付けロボット、マルチ検査ロボット、マルチ組み立てロボットなどの自動化ロボットパッケージが多数展示される「スマラボ南相馬」と2つの会議室が入り、2回部分には50人収容のオフィス、ラボ、食堂が入る。

研修施設は35人収容。国内外から技術者やエンジニアを受け入れ、次代のSIer育成の拠点として活用していくという。

■技術は惜しまずオープンに

同工場の掲げるコンセプトのひとつが「ロボットSIerの後方支援」。R&F天野代表は、「日本の製造業が再び復活するためには、自動化とデジタル技術の導入が必要不可欠。だが、それらを担うロボットSIer人材の絶対数が足りないという現実がある。また業務においては、加工部品の適切な発注先がわかりにくく納期が長い、設計や制御の標準化が進まず効率が悪いなど、解決が難しい課題が山積しているのが実情」と語る。

これらの課題を解決するべく、メインとなる加工工場では、「半製品ロボット・FAキットの開発」や「特注部品の短納期加工」を行う。これにより、SIerの開発負担や導入先のコスト負担低減を実現し、中小企業でも導入しやすい自動化システムを供給していくという。

実際の生産においても大半の部分がデジタル化されている。発注に対しては、AIによる自動見積もりで回答。受注後はCAD/CAMとデジタル上に構築した仮想生産ラインを連動させ、生産シミュレーションを行う。これらが統合MES(製造実行システム)とつながり、デジタルツインを可能にした。

工場内には最新の5軸マシニングセンタや3Dプリンタなどハイエンドの加工機が並び、自律制御されたロボットやAGVが各工程間を繋ぐなど、生産における全体最適化を実現している。

R&F飯野代表は「これらの技術は積極的にオープンしていく。今後は中小製造業にも参考になるようなモデル工場を目指している。この工場を起点に製造業、ロボットSIerを盛り上げていきたい」と語り、今後の業界全体の発展を見据える。