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中古設備のBtoB取引サービスが活況

画像のように、1000万円クラスの機械もサイト上で取引されている。高額商品の場合は現地確認を推奨しており、必要に応じてサポートに入ることで今のところ大きなトラブルはないのだという

商社の死蔵在庫もサイトで売買へ

 Sharing FACTORY(シェアリングファクトリー・東京都港区)が手がける、製造業向けの中古売買サービスがこのところ活況だ。出品者と購入者が同社のプラットフォーム上で遊休資産を直接売買する仕組みで、「製造業版のメルカリ」と言えばイメージがつきやすいかもしれない。1222日時点で約1800商品が掲載されており、マシニングセンタや三次元測定機、ミーリングチャックなど様々な設備がサイト上に並ぶ。CtoCのフリマサイトの感覚でサイトを覗いた人は驚くかもしれない。というのも数百万円クラスの設備が、実際にサイト上で相当数売れているのだ。
 「元々は測定機など単価の低い小物の取引がメインでしたが、徐々に単価が上がってきてこのごろでは100~500万円までの機械がボリュームゾーンになってきました」。シェアリングファクトリーの長谷川祐貴社長は利用者の傾向についてそう話す。最近では1000万円近い工作機械も取引されるようになり、サイトに掲載されている設備としては最も高いもので約1300万円の工作機械が売れた実績もある。「単価が少しずつ上がってきたのは製造業の業界特性もあると思います。様子を見ながら段階的に事を進めるというか、まずは少額の取引で実績を作り、次はさらに高額な設備を取引するという好循環が生まれています」
 長谷川社長が語る同社を用いた中古売買のメリットは複数ある。1つ目は利用者が自由に値付けできることで、これにより下取りに出すよりも高い金額が得られる傾向があるという。実際に下取りで4万円を提示されたプレスブレーキがサイト上で約120万円で売れた例もあり、そもそも価値がゼロだと思っていた物に思わぬ値が付くケースもある。買い手企業は機械を安く早く手に入れることで仕事の機会損失を減らせる。売り手側としても、得た利益を次の投資へ回してステップアップできるわけだ。

■営業ツールとしての活用も

 こうした点に加え、長谷川社長が話すのが販売店に対するメリット。「いわゆるデッドストックと呼ばれる活用のあてのない在庫をサイトに出品することで、営業の人員を割くことなく買い手を見つけられます。実際に販売店が在庫していた協働ロボットがサイト上で成約するなど、すでに販売店の営業ツールとしても活用いただいています」と意外な活用方法を語る。
 現在、サイトに掲載される商品は月100~150くらいのペースで増加。商品が増えるに従って利用者も増えるという、同社の目指す良いサイクルがうまく回りつつある。「会員数は足元で約1700と順調に増えてきましたが、一方で国内の製造業が約66万社あることを考えるとまだまだ局所的な需要に留まっています」と長谷川社長。「使いやすさや利便性などユーザーが感じる価値をさらに高め、このサービスを業界のスタンダードに押し上げたい」と展望する。

2023110日号掲載)