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ブラザー工業、愛知の自社展で加工実演

ブラザー工業(株)

横形MCによる大物ワーク加工も

 ブラザー工業は1117日までの3日間、刈谷工場内のブラザーテクノロジーセンターで自社展を開催した。10月に開かれたメカトロテックジャパン2023に出展した横形マシニングセンタ(MC)をはじめ、新機種を中心に小型MCSPEEDIO」の全7シリーズを披露。機電一体開発による高い生産性や広い加工エリア、主軸30番機のイメージにとらわれない加工性能の高さを実演を通じてアピールした。
 入ってすぐに目についたのは、今年4月に発売されたワイドストロークモデルの「W1000Xd2」だ。同じくワイドストローク仕様の従来機からZ軸移動量をさらに80㍉伸ばしたマシンで、X軸移動量(1000㍉)とY軸移動量(500㍉)を据え置きつつ、テーブル積載量は500㌔に増やしより大きなワークに対応できる。従来機は21本までだった工具マガジンもオプションで28本まで対応。折損に備えて同じ刃物を複数本装着したいというニーズにも応えられる機械だ。
 「昨今EV向けのアルミワークは大型化の傾向があり、SPEEDIOも加工エリアをより広く確保する方向で開発を行っている」と担当者は話す。会場ではこの流れを汲む横形MCH550Xd1」も披露され、実演加工では人垣ができていた。
 H550Xd1は機械幅1557㍉と、ラインを組むうえで重視される間口方向のコンパクトさが特長。一方で治具エリアはφ600×580㍉と広く、昨今の大型化するワークも削れる『横形ながらSPEEDIOらしいマシン』だ。切粉の排出性が高く深穴加工時の刃物トラブルを低減可能で、会場でもEV向けアルミケースを模した500×500㍉の大型ワークにロングドリルで加工を行ってみせた。同機について担当者は「30番の横形MCは汎用機ではかなり珍しい。そのぶん良さが浸透するまで時間がかかるかもしれないが、非常に興味を持っていただいているのは間違いない」と期待を寄せる。
 SPEEDIOは今年、ブランド誕生から10周年の節目を迎えた。担当者も「『ブラザーの工作機械』ではなく『SPEEDIO』という名で業界に通じるようになった」と手ごたえを語るが、一方で「30番機は非力だという従来のイメージをお持ちの方もまだ多い」と課題もあるようだ。
 「やはり積み重なった印象があるのか、30番機の導入を不安に思う方がいるのは事実。しかしSPEEDIOS50Cに一発で大径の穴加工を行うなど、鉄やSUSでもゴリゴリと削れる。見れば納得してもらえるはずなので、こうした機会にじっくりご覧いただきたい」

(20231125日号掲載)