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パナソニック コネクト、物流拠点のプロセス変革と実例披露

ピッキングをV-SLAMで解析する様子

DXで課題の真因を特定

 パナソニック コネクトは6月中旬、大阪府茨木市の自社物流拠点「彩都パーツセンター」を報道向けに公開した。同センターは修理部品など月間26000点のサービスパーツを25ヵ国に供給する供給拠点。物流現場への自社ソリューションを提案するショーケースの役割も担う。
 同社が掲げる「現場プロセスイノベーション」は、インダストリアルエンジニアリングでモノの流れにおける問題点を可視化・標準化・最適化するとともに、画像認識やAI、センシングといったDXを導入し、作業プロセスを積み重ねることで業務効率を改善するもの。
 今回、同社がキーポイントとして掲げる技術を列記する。自己位置を推定する技術「V-SLAM」は、GPSが利用出来ない屋内倉庫内でもカートの動線を認識できる。パーツピッキングの棚エリアやフォークリフトエリアに設置し、作業者の移動位置を記録してデータ集積を行う。
 また「AI画像処理」で、ピッキング作業を天井のカメラから撮影し、リアルタイムで各作業者を分析し、アルゴリズムで情報を抽出。これらの情報を「ダッシュボード」で統合的に分析し、データを集約。現場管理者から経営者まで同じ現場をソースにしながら、各ロールが求める情報を提供可能で、誰でも現場に改善アクションを反映できる。
 「積載量可視化」は、センシング・AIにより動いているカゴ車でも充填率を割り出す技術。「適正な積載量を計測できるため、配送トラックの台数も最適化が可能。これにより配送時のCO2削減にもつながる」(同社)
 これらの技術を活用した結果、従来600分かかっていた分析工数を15分に短縮。ピッキング工数の生産性を25%向上させ、結果的にコストの10.8%削減を実現した。
 今後の指針としては、子会社のブルーヨンダーのAIやソフトウェアと連携し、サプライチェーンマネジメント全体への最適化を強化していくとしている。
 エバンジェリストの一力知一氏は「V-SLAMAIを、物流現場においてこの精度で実装している事例はまだ少ない。そういった点で、彩都は貴重な物流現場であることを知ってもらいたい。ただし、現場によってボトルネックは違う。投資対効果を考えながら現場ごとに顧客と分析し、業務プロセスイノベーションを通してソリューションの提案をしていく」と力強く語った。

2022725日号掲載)