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長谷川工業、法改正の必須アイテム「トラック向け昇降設備」

長谷川工業(株)

トラックステッパー「TS-500D」(左)、最上段ステップを外しバランスよく乗り移れる「ラクノリ」(中央)、トラック昇降はしご「LTM」シリーズ(右)

『荷台昇降設備・荷役作業設備』で需要増に対応

 1人を約2.6社が奪い合う――。慢性的な人手不足が続いている物流業界のなかでも、特に深刻な担い手不足に陥っているのがトラックドライバー。その激務の緩和や待遇を少しでも改善させようと、様々な法改正が行われている。そのひとつが本年10月に改正された労働安全衛生規則の一部改正だ。
 運送業における労働災害で特に多いのが荷役中の災害。平成25年度の厚生労働省調査によると、実に約75.5%が荷役中の事故。なかでも荷台からの昇降時に転落したケースが約40%と最も多い。
 こうした状況を鑑みて、厚労省はこれまで最大積載量5トン以上の貨物自動車を対象としていた荷役作業時の昇降設備の設置及び保護帽の着用を、最大積載量2トン以上の貨物自動車に拡大。本年101日より新規則が施行されている。
 一方、法改正が行われたにもかかわらず、厚労省に近い物流関係者によると、「昇降設備を用意していなくても、すぐに罰則とはならず、まずは注意が与えられ二度目以降に適用される可能性がある」と、まだまだ周知も導入も進んでいないのが現状でもある。
 また、国内で稼働中の2㌧トラックは100万台以上となるため、トラック向け昇降設備を手掛けるメーカーサイドも、急激な需要増に供給が追い付いていないという側面もある。
 かねてよりトラック向けの昇降設備を手掛けてきた長谷川工業も、夏前あたりから受注が急増している一社だ。同社営業本部の菅崎良太課長は「当社のトラック向け昇降台『トラックステッパーTS/TSW』ですが、以前は年間500台程の実績という製品でした。それが法改正を機に10倍近くの売れ行きとなっており、現時点ではお客様へのお納めが少々遅れてしまっている状況です」と語る。
 同社のTS/TSWシリーズはアルミ製で、最小サイズのTS-500D(全高28~43㌢・ステップ幅20㌢)で重量1.3㌔、最大サイズで手がかり棒付きのTSW―925(全高83.5㌢)でも重量4.8㌔とかなり軽量。設置や持ち運びにおける負担を少なくしている。
 「お客様からも利便性については高い評価を頂いておりますが、比較的リーズナブルな価格でお求めいただける点も人気に繋がっている一因かと思っています」(菅崎課長)

■乗り移り時のリスクを軽減

 また、急激な需要増への対応として、新たに同社が開発したのが、トラック昇降はしご「LTM」シリーズだ。
 「従来、当社のトラック昇降製品は専用のアルミ素材を使用して製造していましたが、今回の需要増を受けて、はしごのアルミ型材を使ったLTMを提案させて頂いております」
 LTMには、はしご・脚立のパイオニアメーカーとしての工夫が凝らされている。そのひとつが「ラクノリ」機構の採用だ。脚立・はしごの使用時における事故の6割は「体のバランスを崩したこと」が原因となっている。
 一般的なはしごは体を外側に乗り出さないと対象物に乗り移れないため、バランスを崩しやすい。また体の重心がはしごの外に移動するため、重心と合わせてはしごも横ずれしやすくなり、事故が起こりやすい。そこで同社が開発したのが、はしごの最上段のステップを外した「ラクノリ」機構だ。
 「最上段のステップを外すことで、正面からの乗り移りを可能にしています。これによって乗り移り時に重心がはしごの外に出ず、スムーズな移動を実現します。この『ラクノリ』機構をトラック昇降はしごLTMシリーズにも採用しました」
 トラックのアオリ部分にかけるフックは蝶ボルト使用で、好きな位置に調整して取り付けでき、収納も簡単に行え、従来のはしごを使う感覚で運用できる点も魅力だ。
 「はしご・脚立メーカーとして品質面や安全面において一切妥協をしていませんが、より早くお客様に製品が行き渡ることで事故が未然に防げるよう、価格面もかなり抑えて販売しております」
 長谷川工業は前出のTS/TSWシリーズやLTMシリーズのみならず、脚部伸縮で高さ調節が可能なLMシリーズ、幅広の踏板で昇降時の安定感を高めたMTSシリーズをトラック積載可能な製品としてラインナップしている。
 また据え置きタイプは、組立式作業台DBシリーズ、折り畳みタイプの作業台DADシリーズ、大型トラックにも対応可能でキャスターの移動や複数連結しても使えるWBシリーズに加え、オーダーメイドでの特注品にも対応している。 
 「物流2024年問題に伴い、今後トラックドライバーさんはますます貴重な人材となってきます。当社は今後もドライバーさんたちが安心・安全に怪我無く、快適に作業できる製品を市場投入していきます」(菅崎課長)。

20231025日号)