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ヤマザキマザック、ミネラルキャスト内製へ

ヤマザキ マザック(株)

24年度量産、採用機種を拡大

 ヤマザキマザックは高い振動減衰性を持つ複合素材「ミネラルキャスト」を内製し、自社製工作機械への採用を拡大すると明らかにした。工作機械の構造体に広く用いられる鋳鉄と比べ振動減衰性能が約10倍優れており(同社試験による)、加工精度や加工能率、工具寿命の向上につながる。2023年度中に量産化に向けた技術開発を完了。24年度中に量産を開始し内製ミネラルキャストを採用した新機種の出荷をスタートする予定だ。
 ミネラルキャストは鉱石とエポキシ樹脂で結合させた複合素材。高い振動減衰性を持つほか、鋳鉄と比べ熱伝導率が約25分の1のため工作機械の構造体を温度変化に強くできる。製造時に鋳物のような高温溶融処理が不要のため、製造時におけるCO2排出量も鋳物と比べ約8割減らせる(同社比)。型へ材料を流し込んでから脱枠までの所要時間も約24時間と短く、製造リードタイムを鋳物に対し約6割縮められるメリットもある。配管やタップインサートをあらかじめ鋳込むなど設計の自由度も高いため、機械加工や組立など後工程の工数を減らすことも可能だ。
 このようにミネラルキャストは多くのメリットを持つが、国内では製造メーカーが限られ輸送費を含めたコストが工作機械の構造体として一般的な鋳物と比べ割高。これが工作機械に採用するうえでの課題の一つだった。
 同社はすでに国内生産機種の一部にミネラルキャストを採用しているが、数年前からミネラルキャストの内製化に向けた試験研究を行っていた。内製ミネラルキャストの採用拡大により、高精度で生産性の高い工作機械を短納期かつ環境負荷に配慮した形で提供することを目指す。

2024110日号掲載)