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最上級仕上げ加工技術展レビュー

会場では時間をかけて話を聞く来場者が多数いた

人手不足や新素材対応の製品提案

 3月に設立された(一社)バリ取り・表面仕上げ・洗浄協会(理事長=北嶋弘一関西大学名誉教授)が主催する第一回「最上級仕上げ加工技術展」が519日までの2日間、東京都大田区の羽田イノベーションシティ内「PiO PARK(ピオパーク)」で開催された。加工の最終工程に関し問題解決や技術指導を行う専門展で、バリ取り工具メーカーや洗浄装置メーカー、金属加工メーカーなど会員企業の半数超の14社が出展。近隣の金属加工業者や販売店、銀行などから150人ほどが訪れた。
 会場で多く耳にしたのが人手不足を理由とした問い合わせの増加だ。バリ取り研究所「DbLS Deburring Labo at SUGINO(デバラボ)」を今春に開設したスギノマシンはバリ取りの自動化に役立つホルダ「BARRIQUAN(バリカン)」シリーズを中心に展示。先端が伸縮・傾動するフローティング機構を備えているため、バリ取り量の安定化やプログラミング・ティーチング時間の短縮に貢献する。特に「人手不足に加え、需要の増減への対応や作業者ごとの品質のムラなどを理由に、人で行っていた作業をロボットに置き換えようとする企業が増えている」という。
 最終仕上げでも職人不足が深刻だ。複雑形状を磨く必要のある工具メーカーや金型メーカー、金管楽器の最終仕上げに使われているのが東洋研磨材工業のショット式鏡面研磨機「SMAP」シリーズ。エアを使わず、遠心力で研磨剤を飛ばすため、大量のメディアを吐出できるのが特徴。研磨剤が柔らかいこともあり、職人の手でないと磨けないような複雑形状の最終仕上げに向く。同社は「職人の89割くらいまでは対応できるため、当社の機械で十分な場面も多い」と話す。

■穴あけバリを0に

 バリが出ないドリル「ゼロバリ」を各種出展したのがギケンだ。触らなければわからない程度(10ミクロン以下)までバリを抑制したゼロバリは、これまでのセンタリング、下穴加工、ドリル加工、リーマ加工、仕上げといった工程を、穴あけと仕上げのみに集約できる。同社の石川義一社長は「加工条件さえ合わせてもらえば、従来の半分の時間で加工でき不良率も激減したといった事例や、40倍工具が持つようになったといった事例も出てきている」とメリットを説明する。現在は半導体や医療向けの小径タイプや次世代モビリティ向けの複合材の加工に向くタイプなど先を見据えた開発に力を入れる。 

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ギケンの「ゼロバリ」シリーズは刃先形状が肝だ

2023610日号掲載)