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ダイヘン、溶接内部自動検出システム開発

(株)ダイヘン

薄板にも適用可能

 ダイヘンは、「ダイヘン溶接・接合協働研究所」の研究成果として、世界初のレーザ超音波法(以下、LUT)を用いた、薄板に適用可能な溶接内部欠陥自動検出ロボットシステムを開発。加速するEVシフトに伴う車体軽量化(薄板化)に対応する検出システムとして、自動車産業を中心に提案を進める。
 自動車産業をはじめとする大量生産現場の外観検査には、溶接部の品質管理手法としてカメラなどの画像処理技術を用いた自動化が図られている。一方で自動車の足回り部品などで多用される亜鉛メッキ鋼板は、亜鉛メッキが原因として発生する「ブローホール」 などを検出するための内部欠陥検査を行う必要がある。
 この内部欠陥検査には、通常適切なロット数の中から製品を抜き取り、溶接部を切断して内部欠陥の有無を直接確認する確率による検査が行われるが、人手・時間・コストを要するだけでなく、検査後の製品を廃棄しなければならないなど多くの課題があった。
 非破壊検査手法としては超音波検査や放射線(X線)透過検査があるが、従来の超音波検査ではそもそも6㍉未満の薄板への適用が難しく、また探触子と呼ばれるセンサーを、液体媒質を介して検査部に押し当てる必要があり自動化が困難だった。また放射線透過検査においても、検査対象を密閉された装置内に入れなければならないサイズの問題などがあり、いずれの手法も生産ラインへの適用に課題があった。
 こうしたなか、同社は検査対象に非接触で欠陥検出が可能となるLUTに着目し、生産ラインに適応性が高いロボットシステム化を実現。従来の超音波検査が苦手とする薄板溶接部における「内部欠陥自動検出アルゴリズム」 を世界で初めて開発した。同技術により、検査にかかるコストを大幅に削減できることに加え、破壊検査による製品の廃棄ロスが無くなり、環境にも配慮した溶接品質管理を可能にする。
 「今後は2023年度中の製品化を目指しつつ、溶込み深さの計測や溶接しながら内部欠陥を検出する『インプロセス計測』の実現に向け、同研究所でさらに発展的な研究開発に取り組む」(同社)

2022710日号掲載)