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ナガセインテグレックス、設置面積1/2の高精度門形研削盤

理想構造を追求した結果、曲線を多用したデザインに

剛性高め生産性アップ

ナガセインテグレックスは71日、高い剛性による生産性と、従来機比2分の1の省スペース性を備えた高精度門形平面研削盤「SGX-126B(S)L2D-Neo3」を発売した。金型プレートや精密部品など、1200×600ミリまでの中型ワークの高精度加工に対応。価格は5200万円(税別)で、年10台の販売を目指す。615日に開かれた報道向けの発表会で披露した。

独自の設計思想「IGTARP DESIGN」をベースに開発。従来は直線的な構造の多かった機械構造を抜本的に見直し、曲線を取り入れた重心的に理想の形状を追求した。これにより、シングルコラム構造の従来機(以下、従来機)と比べ加工点の静剛性を2倍、揺れにくさに直結する動剛性を1.25倍に向上。このクラスの機械で一般的な砥石軸モータの出力(7.5キロワット)の倍となる、15キロワットの高出力モータを標準搭載した。装着可能な砥石幅も最大φ510×75ミリと広く、加工能率を高めている。

さらに基本構造を最適化したことで、剛性を担保しつつ省スペース化を実現。大型のイメージが強い門形機でありながら、ベッドを3点支持構造としつつ、設置面積を従来機と比べ2分の1に抑えた。テーブル高さ(床面からチャック上面まで)は850㍉と、従来機から300㍉低く設定。作業台なしでワークセットが行えるほか、足元のスペースに足が入るため作業者の寄り付きが良い。制御システムも直感操作に定評のあるタッチパネル式の「Neo3」を搭載し、作業性を高めている。

省エネ性能も追求。テーブル駆動に精度面で優位な油圧サーボシリンダを採用しつつ、圧力と回転速度を最適制御することで従来機と比べ消費電力を半減させた。テーブルの左右送り速度は最大毎分30メートル、前後軸の最高速度は従来機比4倍、上下軸は同3.3倍といずれも従来より向上させている。

開発を担当した新藤良太常務取締役は「機械構造を抜本的に見直して理想形状を追求した結果、球形を切り出したようなデザインになった。このサイズではシングルコラムが一般的だが、トポロジー最適化や解析を繰り返し、非常識と言われる門形構造を可能にした。高精度・超高能率と付加価値を高めつつ、ハイエンドではなく求めやすい価格を実現している」と言う。

長瀬幸泰社長は「機械の基本構造はここ百年以上、製造上の課題から部分的な改良にとどまっている。そこで我々はイチから理想的な基本構造の構築に取り組んでおり、ここ数年で次々と形にしている。これは工作機械における新たな潮流。さらに1年以内に、同様の設計思想に基づくシリーズの発売を予定している」と語った。

2022710日号掲載)