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鈴木油脂工業、天然由来の手洗い洗剤

鈴木油脂工業(株)

鈴木和哉社長、アロエローヤル エコを手に

マイクロプラ問題解決へ

 鈴木油脂工業は、主力商品「アロエローヤル」のスクラブ剤を天然素材で分解性の高いデンプン由来に変更。「アロエローヤル エコ」として商品切り替えを実施した。マイクロプラスチック問題を解決したいとの強い思いから開発に3年を費やした。
 手についたガンコな油汚れや臭いだけでなく指紋やシワの間に入り込んだ汚れもスッキリ落とす「アロエローヤル」。中性で手荒れ防止剤配合のため手が荒れにくく、洗い上りもさらっとしているのが特徴だ。また配合しているアロエエキスが保湿効果を与える。そんな同社の主力商品を、洗浄力をそのままにスクラブ剤をデンプン由来に変更し、環境配慮を打ち出したのが「アロエローヤル エコ」だ。
 エコと打ち出すと、汚れが落ちにくいというイメージが先行してしまう。また少なからぬユーザーは「エコより洗浄力」を望むため洗浄力が同じでも、売り上げが落ちる懸念もあった。
 鈴木和哉社長は「商品の切り替えには反対意見もあったが、アロエローヤルは当社のメイン製品であり、環境への影響も大きい。ゆえに環境に配慮するのは社の方針として重要だった」と話す。
 「デンプン由来のスクラブ剤は洗浄力が高く、汚れを落とすという意味では従来品と同じレベルにするのは難しくはない。ただ、工業的に作られたポリエチレンなら不純物がなく安定しているが、デンプンは天然物で成分に微妙な不純物が含まれバラツキもある。50度の過酷な環境で半年以上安定した状態に安定させる処方を見つけるのに苦労した。過去には2カ月後に分離してしまい発売を白紙に戻したこともあった」
 ほかにも、あるスクラブ剤を使ったところアロエローヤルの特徴的なグリーンが、茶色がかってしまった。洗浄力に問題はなくとも、色もまた商品イメージでありNGとなったという。
 3年の歳月を経て完成した商品は周到な販売計画が練られた。半年ほど従来品と併売しながら、ユーザーの元へ同行して説明を実施。サンプルも必要なだけ提供した。営業サイドの努力もあり多くのユーザーから「洗浄力は従来品と変わらない」との納得を得て、今年2月後半から「アロエローヤル エコ」に商品を統一した。
 スクラブ剤を天然由来にすると製造原価は上がるが、従来品と同じ値段を維持した。今後は、エコを前面に押し出すことでピンク石鹸からの切り替えを即すなど、販売拡大を目指す。本体251個に詰替252個を組み合わせたお得なセットも発売し、販売促進を図っている。

2023625日号掲載)