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AMでのスキャナ活用体験会、リバースエンジニアリングの重要性学ぶ

紙コップを用いてスキャニングを実施

 「デジタルモノづくり(AM)におけるスキャナ活用体験会」が227日に開催され、参加者はハンディースキャナArtec社の「Spider」や「Leo」を用い、持ち込んだワークでスキャニングを体験した。
 製造現場のDXが普及し、「データからモノへの変換装置」である3Dプリンタの需要が高まると同時に、「モノからデータへの変換装置」である3Dスキャナも重要度が増してきた。
 講師を務めた松野恭子氏は「対象物をスキャニングして、編集を経てCADに起こして3Dプリンタで造形するのが一般的な流れ」と説明する。スキャナの原理としてはブルーレーザーや赤外線など各種光源を対象物にあて、跳ね返りによって形状情報などを読み取りデータ化する。
 「スキャナはどんなものでも読み取れるわけではない。光を反射しない黒いもの、透明なもの、光沢のあるものや鏡面状のものは取得した点群が抜けるためうまくスキャニングできない」(松野氏)とする。ただし、表面にマットな膜を作るスキャナ用昇華スプレーによる対応策がある。また解像度と正確性は比例し、性能が良ければよいほど精度は上がるが、点群のバラつきまで再現し、精度の誤差を生じさせる問題があるという。

■3DCADへ変換の難しさ

 スキャニングするとSTLデータになる。「STLから3Dプリンタで造形することもできるし、テクスチャーをつければCGなどにすることも、CAE流体解析にも比較的容易に出来る。ただし3DCADデータにするには形状のゆがみや反り返りなど誤差が多く含まれるため自動判別で変換できない。そこでリバースエンジニアリングが必要になる」(松野氏)とする。リバースエンジニアリングでは3DCAD上で一つ一つ形状を読み取り、トレースするような形でモデリングすることになる。
 松野氏は編集ソフト「Artec Studio」の操作説明を行った。その後、参加者は持参したワークを用い「spider」や「Leo」でスキャニング体験をした。

2024325日号掲載)