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日々の暮らしを豊かにする家電・グッズ

現在日本では感染の再拡大を迎えている。ここ数年、感染状況が急激に変化する中、我々は日々それに対応することを強いられている。一方で、同じく変化を求められた家庭内ではニューノーマルが定着し、目新しさよりも日々の生活の心地よさ、豊かさへの再考が進んでいるようだ。


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■RoomClip Award 2021

住まいと暮らしの実例写真共有サービス「RoomClip」を運営するルームクリップ(東京都渋谷区)は、RoomClip内に投稿されている写真と、写真に付与されたタグ、いいね、コメントなどのデータを分析し、2021年の「暮らしとインテリア」に関する注目キーワードやベストプロダクトを選出する「RoomClip Award 2021」を昨年12月に発表した。注目キーワードの1位から3位まではそれぞれ「心地よい暮らし」「花・植物のある暮らし」「暮らしの快適家電」となった。同社は「20年が非日常や新しさをおうちの中に取り入れるといった傾向があり、わりとばたばたしていた」のに対して、「21年はそうしたものが定着していった」と分析している。各家庭がそれぞれ自分たちの好きなものを見つめなおして、より自分たちにとって心地よいもの、生活のクオリティをあげるものを取り入れる動きがあったことがわかる。

■家庭中心の生活に

野村総合研究所(東京都千代田区)の1月に発表した「生活者年末ネット調査」において、回復への意識の高い国内旅行においても約半数が「コロナ以前には戻さない」と回答していた。野村総研は「デジタルサービスで余暇を気軽に楽しんだりすることが、生活者の中で定着してしまった」と結論付けており、家の外への意識は限定されるようだ。

しかし、外への関心が弱いわけではない。外の雰囲気や季節の変化を家の中に持ち込むため、ベランダの活用、植物への関心が高まるなど、家庭に外の刺激を取り込む流れがある。旅行に関して、ブッキング・ドットコム(オランダ・アムステルダム)が218月に成人1002人を対象に行ったアンケートでは、日本の旅行者の74%が「旅はどんな休息やリラクゼーションよりも幸福(ウェルネス)に繋がる」と回答し、83%が「旅の計画が立ててあると、自身の幸福に良い影響をもたらす」と回答するなど、旅行をセルフケアとして重要な位置に置く人も多いようだ。また、JTB(東京都品川区)が12月に発表したレポートでは、「今後1年間の旅行の支出に関する意向」が「コロナ以前より支出を増やしたい」と回答した人は112%、「コロナ禍より旅行支出を増やしたい」は173%と支出を増やしたいと考える人の割合が高い(調査は15歳以上79歳までの男女に211116~22日に実施)。感染小康時にはやはり外食・国内旅行への関心が高まるようだ。

■2022年、コロナ後のトレンド予想

野村総研の先のレポートからは、「自分のお気に入りにこだわり、相応の付加価値には対価を払う消費スタイル」である「プレミアム消費スタイル」が増加していることが分析され、制限のある生活の中においても、自分なりのこだわりを見出しながら工夫して楽しむことにニーズが変化していることがわかる。

RoomClip Award 2021のオンライン発表会でルームクリップ住宅研究所・所長の川本太郎氏は22年からのトレンドを「構造変化として脱炭素とSDGSが確実に大きな流れになる」と述べるとともに、「ニューノーマルの定着後、人々の交流が本格的に再開された際、家の中がどのように変化するのかを見る必要がある。例えば、ベランダの活用が進んでいることに対する転落事故対策など、住まい環境の変化によるベースメントも考え直さなくてはならない」と締めくくった。コロナ禍での生活が定着し日常化した現在、そうした日常でのニーズを捉えていく必要がある。