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既存設備をIoT化するシステム

ファナックが動きを制限することで30㌔グラム可搬にして動かて見せた「CRX-25iA」

■可搬30㌔超えの協働ロボットも

自動化を進める有効な手段として近年ますます注目が集まる協働ロボット。その可搬重量はかなり大きくなってきた。1月に東京で開かれたロボット開発・活用展「ロボデックス」ではファナックが25㌔グラム可搬の「CRX-25iA」を動きを制限することで30㌔グラム可搬にして動かして見せた。同社は「産業用ロボットから派生した緑色タイプでは35㌔グラム可搬もあるが、(ダイレクトティーチングできる)この白色のCRXシリーズでは30㌔超えはなかった。可搬重量はハンドを含めての重さなので20㌔グラム台ではもの足りない作業がでてくる」と重量アップした理由を話す。

産業用ロボット.jpg

悔しがるのは同展に出展した韓Dosan Robotics。「去年までウチの25㌔グラム可搬が(ダイレクトティーチングできるタイプでは)一番だったのになあ」と残念そうに話す。この分野で最大手のデンマークのユニバーサルロボットは20㌔可搬(最大リーチ1750㍉)を今夏発売する予定(ラインナップは3~20㌔グラム可搬の5機種になる)。同社は協働ロボットと組み合わせて使えるUR+製品を急速に拡大中で、310社・410製品以上(日本では12社・17製品)まで広げた。

数百㌔グラムの可搬重量で切削加工もこなすイメージが強いKUKAも協働ロボットを充実させており、現行の31115㌔グラム可搬にもっと重いタイプを近く投入する構え。

ただ、ロボットSIer、高丸工業(兵庫県西宮市)の高丸正社長はこうした動きを懸念する。「協働ロボットのリスクアセスメントがきちんとできていない。今後すべてのロボットが協働ロボットになると、実は思っているが、今の各ロボットメーカーの協働ロボットの売り方は間違っている」と危惧する(1617面にロボット座談会)。

■提案の幅増す自動化

ロボットでできる作業が広がっている。川崎重工業が提案するのは最大リーチ1885㍉のロボットを使った複雑曲面の走査型外観検査システム(昨年8月発売)。曲面を手早く検査できるのがポイントで、ラインスキャンカメラを用いて車のエアロパーツやヘルメットを外観チェックする。ヘルメットの検査はX線を使って人手で数分かけて行っているのが現状。このシステムでも同様の時間がかかるが、「キズの有無による合否判定を自動化できるメリットは大きい。自動車や白物家電分野をターゲットとしており、お客様から検査できるか調べてほしいとサンプルが相次いで当社に届いている」と言う。

8面モノづくり特集(1)提案の幅増す自動化P2川崎重工業.jpg

川崎重工業が実演する複雑曲面の走査型外観検査システム

ユニバーサルロボットは溶接+研磨システムを昨年の国際ウエルディングショー以来、提案している。溶接トーチとサンダーを自動で交換し、ダイレクトティーチングしやすいようエンドアーム部に位置決めボタンを新たに開発した。「どちらの作業も人手不足。研磨システムは押し付ける力を一定に制御して職人の技を再現する。アウディやBMWなどへ納入実績がある」と言う。

(2023年3月25日号掲載)