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スパイスキューブ、都会のスキマで都市型農業

 大阪市西区に本社を置くスパイスキューブ(2018年設立・須貝翼代表)は日本の農業に新しい風を吹き込もうとしているフレッシュな会社だ。
 植物工場の運営や事業化支援などを手掛ける同社が推進しているのは、遊休施設を再利用した地域密着の狭地植物工場だ。高額な初期費用が掛かるため大企業しか参入出来ない領域だった植物工場だが、徹底的にコストカットした狭地植物工場を活用することで小さな資本でも農業参入を可能にし、中小企業が主体となって地域を支える新しい農業の仕組みを提供する。
 省スペースと低価格の植物工場から想定されるメリットには、自然災害や気候に左右されず安定して生産できることや、衛生的な生育環境で栽培されることで害虫リスクや品質劣化の原因となる細菌が少なく、洗浄が不要となり水の使用量削減に繋がることなどが挙げられる。また、都市部で育成することで輸送コストやCO2の排出量削減といった効果も狭地植物工場には期待できるという。
 224月に同社は自らビジネスモデルとして、東大阪市の住宅街のコインランドリーだった場所を植物工場にリノベーションし、生産を開始した。225月には、生産した野菜を地域住民に提供するため、工場前の自動販売機でオリジナルサラダカップの販売を開始した。ビジネス街に小さな緑を広げていくことで、日本の農業や食生活に一石を投じようとしている。

(2022年6月25日号掲載)