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用途増すレーザー加工、高品質溶接に微細穴あけも

統計解析で異常の度合いを可視化するアマダの「WELDXAI」

 レーザー加工の用途が高品質溶接・穴あけ・クリーニングと増している。129日まで千葉市の幕張メッセで開かれた光・レーザー技術展「第22Photonix」(RX Japan主催)でそんなレーザー技術が示された。
 高効率で高反射材に強いファイバーレーザーは高出力化する一方で加工品質は向上する方向だ。安川電機はリングモードファイバーレーザー専用3Dガルバノヘッドユニット「YD-3000AL-3.5」を初披露。近日発売の運びにある。自動車業界でニーズが高まっている出力10㌔ワットに対応し(同社ではこれまで8㌔ワットまで)、「出力を変化させることで、一番のムダであるスパッタ(溶接中に飛散する火花)を抑えられる」とする。自動車分野でスポット溶接が普及しているが、溶接点の間隔をある程度あける必要があり、ワークの両側から挟み込んで溶接するため物理的な制約も受ける。「レーザーなら狭い間隔で片側から溶接できるので、スポットからレーザーへ置き換える動きが一部で見られる。ただし装置の価格がまだ高い」と話す。
 高い溶接品質をどう担保するか。アマダが年初から提案を始めたのは品質管理サポート「WELDXAI(ウェルデックスアイ)」。これまで破壊しないと見られなかった溶接の溶け込み深さや接合強度を、レーザー溶接中の表面の光や温度を測定し、AIを利用した統計解析処理で把握する。「他社さんが提案されている光の反射をみる方法のほうがよい場合もあるが、凹凸など適さないワーク形状がある。WELDXAIなら統計解析で異常の度合いを可視化し、閾値内の異常を事前に通知することもできる」と説明する。

▪️四角穴もレーザーで

 牧野フライス製作所は今夏発売した超短パルスレーザー加工機「LUMINIZER LF400」の微細加工性能をアピールする。照射時間が極めて短いフェムト秒(10のマイナス15乗秒)レーザーを用いることで熱拡散を低減し、加工で変質層やクラックを発生させない。幅1㍍ほどのステンレス材に直径75ミクロンの穴を34千個あけて展示。「不織布を製造するためのノズルをイメージした。レーザー径はわずか8ミクロンなので丸形だけでなく四角穴もあけられる」と言う。
 レーザー加工でクリーニングできることを示すのはファナック。協働ロボットCRXシリーズのレーザーオプションとして用意したもので、ビームヘッドとワークとの距離を400±5㍉に保ちながらレーザー光を当てることで塗装・錆・焼け跡を取り除く。「この用途にこれまで有機溶剤やサンドブラストが用いられたのはワークとヘッドを一定の距離に保ち続けるのが難しかったから。本オプションはレーザーで距離も自動で測定して一定に保ち、材料をキズつけずにきれいにクリーニングできる」と言う。

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牧野フライス製作所は直径75ミクロンの穴を多数あけた薄板を展示

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