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過去最大開催FOOMAに10万人超

フクシマガリレイは3台の異なる種類のロボットを活用して見せた

スタートアップが躍進

 世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2023」(主催:〈一社〉日本食品機械工業会)が69日までの4日間、東京ビッグサイトで開催された。過去最大の969社が出展し、106104人が来場した。会場では自動化・省力化に寄与する製品・システムだけでなく、食品工場での異物の混入問題などからトレンドとなっている検査装置に注目が集まった。また、昨年スタートアップブースに出展し注目を集めたメーカーが1年間実績を積み、パワーアップした様子もうかがえた。


 食品機器メーカーや搬送機メーカーでは機器提案にとどまらず、機器の前後工程や工場全体のエンジニアリング力を競い合うようになってきている。特にその色を強く打ち出したのがフクシマガリレイだ。新製品であるアルコール式凍結装置「LSHOCK」やCO2冷媒採用の冷凍システム「NOBRAC」の提案だけでなく、自動省人化ラインシステムやLED付きパネル天井など食品工場へのトータル提案に力を入れる。自動省人化ラインシステムではファナック・安川電機・デンソー製のロボットを1つのラインに取り込んだ。食品業界でも活用が広がるロボットのシステム構築力を示した。同社の担当者は「セントラルキッチンを採用するケースが増えている。食事を大量・安定的に加工するための自動化ニーズは強い。当社は工場建設から、製造ラインの構築、メンテナンスまで一手に引き受けられる」と説明した。
 オークラ輸送機も「食を運ぶ。安心・安全に運ぶ。」をコンセプトに、トレンドを押さえた提案を行った。ステンレスコンベヤ搬送ラインではコンベヤと検査装置を組み合わせた自動化ラインを披露。コンベヤに設置した読み取り機でQRコードの情報を認識。製品ごとに2つのラインに分類、不良品は排除するシステムなどを提案。アルミコンベヤ搬送ラインでは包装済み製品の位置や向きを整える反転機を各種組み合わせた。同社の担当者は「自動化ニーズにより包装製品の位置決めや姿勢、向きなどが重要になってきている。現場ごとに異なる要望に対し、積み重ねてきたノウハウが強みとなっている」と話す。
 マルヤス機械は今秋発売予定の整列・一列化コンベヤなど、新製品を含む包装済み食品搬送ラインを提案。食品業界でもSDGSへの関心が高まっていることから、非接触コンベヤ「レスベヤ」を展示した。永久磁石の吸引・反発で搬送ローラと駆動シャフトが非接触駆動し、駆動源からの発塵を抑制。ブラシレスDCモータで省エネ性能を高め、樹脂系のゴミも出ないつくりのためエコフレンドリーだ。「電力コストや環境負荷に課題を持つ大手企業で採用が進んでいる。中小企業も一部で追従する動きが見られる」とさらなる需要増に期待を寄せた。

■検査装置多種多様

 新東工業は昨年発表した金属検出機Tecnoeyeシリーズの新製品「MFMDA」を出展。センサの検出感度を従来機の2倍引き上げ、鉄系の異物であれば直径03㍉まで検出できるようにした。製品登録・検査履歴など管理機能を拡充し、検査する対象に合わせてセンサ距離を30~180㍉まで調整可能なため、多品種生産ラインにも導入しやすい。

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新東工業の金属検出機MFMDA。昨年のモデルと違い、電子機器を上部に持ってくることで、構造をシンプルにした

 山善も検査工程の自動化提案に力を入れる。ブース正面にはサイエナジーの軟X線検査装置「FIX-7」による食品包装袋の圧着部分への異物混入の検査ラインを設置。弱いX線を照射することで高精度に噛み込みを検査でき、業界最小クラスの360㍉の装置機長でラインへ組み込みやすい。

■スタートアップ躍進

 昨年スタートアップゾーンに出展した企業の活躍も目立った。山善ブースにも出展したFingerVisionは、力や滑りの分布を知覚する触覚センサを活用したロボットハンドを提案。自動化が難しいとされてきた唐揚げの盛り付けを行った。掴んだ際の滑り量などに応じて力のかけ方を調整できるため、唐揚げを落とさず、つぶさずに掴むことができる。ハンドの洗浄対応や爪を交換可能にするなど、より現場で使いやすい製品へと仕上げた。「実際の現場で使われるようになったことが当社にとって非常に大きかった」と1年を振り返る。
 惣菜盛付ロボット「Delibot」がFOOMAアワード2023の優秀賞に選ばれたコネクテッドロボティクスは独自のブースを出すまでに成長。Delibotはもちろんのこと、AI検査ソフトウェア「SIInspection」や蓋閉めロボット「Futappy」を実演展示した。Futappyは様々な容器形状に対応できる蓋閉めロボット。3秒に1個のスピードで閉められ、機体がコンパクトなため設置スペースにも困らないのが特徴だ。

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FingerVisionのハンドツール。カメラを内蔵する部分と爪を分離可能にすることで、衛生面の要求が高い食品業界でも使用に耐えるモデルとなった 

2023625日号掲載)