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栄鋼機工、互換性もつ3次元CAD/CAM導入で残業大幅減

ワークを取り囲むように奥にはCO2レーザー加工機やプレスブレーキが配置

板金加工の生産性を飛躍

 コロナ禍のピークを過ぎ仕事が増え、残業が増えがちな受託加工会社は少なくない。ところが板金や鉄骨・建機部品を加工する栄鋼機工(大阪府摂津市、社員26人)はそうではない。繁忙期には社員の退社時間は午後8時になることが珍しくなかったが、今は仕事が忙しい時でも午後6時には帰れるという。
 約2時間もの時間短縮が図れたのは3次元CAD/CAMソフトを利用するようになったからだ。同社はそれまで機械メーカー製の2次元ソフトを利用していたが、20207月にキャドマック製3次元ソフト「MACSheetSEG5/IST」を導入した。このCADSEG5)は柔軟性に富み、後からの修正が簡単。CAMIST)は堅実な加工条件のデータベースをもち一括処理ができる。4年前に社長に就いた2代目の垣本裕介氏は「1つのこのソフトでどの加工機にもシームレスにデータ送信ができる」とメリットを話す。
 1968年創業の栄鋼機工の主力設備は昨年導入したファイバーレーザー加工機(アマダ製)やCO2レーザー加工機(ヤマザキマザック製)、ドリル・バンドソー複合加工機(アマダ製)など。摂津市で屈指の設備保有を誇る。鉄・ステンレス・アルミ・特殊鋼の切断、曲げ、穴あけのほか、鉄骨・建機・産機部品の加工も行う。金属材は常時1千㌧ほど自社で在庫し、短納期をウリに月間500~1千㌧を加工し納品する。300社以上の外部加工業者のネットワークをもち、自社でできない切削、溶接、塗装などの加工を含めて受注し、完成品に近い状態で納められるのが強みだ。
 薄板の高速切断を得意とするファイバーレーザー加工機を利用することで、これまで以上に加工精度を高め(±0.1㍉~±0.01㍉)、今夏設備した自動研磨機を組み合わせて切断面の品質も高めた。垣本社長は「軽量化ニーズなどで増えているアルミ材の加工はCO2レーザー加工機では難しかったが、ファイバーレーザーで難なくこなせるようになった」と言う。

■試行錯誤の時間を短縮

 3次元CAD/CAMソフトの導入にあたっては同社には別の製品候補があった。だが、保有する異なるメーカーの加工機に対して互換性がなく、「MACSheet-SEG5/IST」ならそれがあった。「キャドマックさんに相談すると実演してくれ、その作業がとても簡単で自分にも扱えそうだった」とCAD/CAMを担当する技術部の上山紀子主任は第一印象を話す。
 「とりわけISTCAM)の機能がいい。CSV(テキストデータをカンマで区切ったデータ形式)を含み、リピートの図面とお客様番号をエクセルで管理できる。組図も1つのシートで作図し部品の追加や削除が可能なため、試行錯誤する時間が短縮した」
 上山主任は10年以上にわたり2次元ソフトを扱ってきたが、「すべて独学。3次元ソフトはまったくの素人だった」と明かす。
 これまでの2次元ソフトでは図面は平面図だったが、3次元ソフトは当然のことながら立体でしか表せない(板金でも厚みが表示される)。つまり不整合な図面はありえないということだ。たとえばプレスブレーキでワークが本当に干渉せずに曲がるかどうかを計算してくれ、曲がらなければ曲がるような提案をしてくれる。「最終形状を確認しながら加工できるので、間違いがない。プレスブレーキでの作業時に三面図、アイソメ図が表記できるため分かりやすくミスが減る。またネスティングされた図面がカラーで表示され(従来は白黒)、部品に製品名が記載されるため現場での仕分け作業が容易になった」と上山主任は多くの利点を話す。

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昨年導入したアマダ製ファイバーレーザー加工機「VENTIS-3015AJ」(発振器定格出力4kW)を紹介する垣本裕介社長はまだ32歳の若さ。休日には仲間と登山で汗を流す。

20221010日号掲載)