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アルゴヴィジョンテクノロジズ、新たな技術用いた高効率研磨装置

「顧客の要望ごとにカスタマイズする」というウォータマシニング装置 elite580

複雑流路の面粗さ・流量を大幅改善

 アルゴヴィジョンテクノロジズ(本社:京都府相楽郡・立花昇一代表取締役)は、細孔や複雑流路(金型水管のサビ防止と定期洗浄)向けに独自で開発した研磨装置で注目を集めている。
 同社所有の特許技術を用いて開発したウォータマシニング装置「elite Series」は水と研磨材のみを混ぜたスラリーを金型水管に通し、一方向に循環させワークを効率的に研磨する「一方向循環式」が特徴。「他社の往復運動式で発生する研磨の空走時間がなく、断続的に研磨作用を起こせる。高速で流れる流水に乗って研磨剤の粒子が内面の凸部に当たり他の物理研磨よりも研磨スピードが速い」(同社)という。
 φ0.20.3の極細穴でも研磨でき、ドロスを完全除去する。特にステントやカテーテル、金属チューブなど、医療機器部品、分析・検査ノズル部品において中小企業を中心に導入実績を積み重ねる。
 3D造形金型の冷却水管の研磨でも活用の広がりが期待される。金型における冷却工程は、品質や製造サイクルタイムにかかわる重要な工程だが、「マルエージング鋼の利用が多い金属AM金型では、溶融再凝固粒子の凹凸面に『錆』や『詰まり』(カルシウム)による金型の割れが多い。我々の研磨技術とノウハウなら流路の研磨で、金型寿命の延長を実現する」と同社は自信を見せる。
 実際に、3D造形金型の流路研磨で、Rz16ミクロンまで面粗さを改善・詰まりを予防し、流量が毎分10ccから毎分470ccまで詰まりを大幅改善した事例もある。
 独自で見出したノウハウと理論により複雑流路でも研磨ムラが生じにくく、均一に研磨する安定性を実現した。
 また、「環境対策として薬剤や溶剤を一切使わず、水と研磨材のみを使用するためエコフレンドリー。ランニングコストも抑えられる。これまでの流体研磨や磁性流体研磨とも全く異なる独自のノウハウがある」(立花社長)という。
 2015年から技術装置開発に着手し、テストや試作でノウハウを着実に積み重ねた。「ノウハウをためると一口で言っても簡単ではない。トライ&エラー、寝る間を惜しんで試行錯誤の繰り返しで実現した」と立花社長は熱意を込めて道筋を語った。
 加工サイズは内径φ4まで(φ10まで拡大予定)、全長は1500㍉メートルまで。ほぼすべての金属、超硬合金、樹脂など幅広い材質に対応する。「表面粗さはRa01ミクロンも可能(要相談)」(同社)

アルゴヴィジョンテクノロジズ研磨後.jpg

3D造形金型の流路研磨事例(左が研磨前・右が研磨後)

2023930日号掲載)