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MONOづくり未来展、東京・太田で開催

入口正面にはブラザー工業の新型機種「W1000Xd2」が設置された

部品加工、測定・計測・検査、脱炭素を集中提案

 616日までの2日間、「『部品加工』『測定・計測・検査』『脱炭素社会』の『未来』を創造する!」をテーマとした「MONOづくり未来展」が都内の大田区産業プラザ(PiO)で開催された。主催・運営事務局を代表して開会の挨拶を行った山善・専務執行役員の渡辺茂雄東京支社長は足元の景況感が力強さに欠けるとしながらも「脱炭素やデジタル化、省エネ、省人、自動化に関わる需要は確実に広がりを見せており、出展メーカーも新提案や新製品の開発に積極的に取り組んでいる。こうした製品の認知拡大につなげるために専門展示会を開く運びとなった」と開催意図を説明。また、「ユーザー視点になって実際の現場の様々な課題や新たな需要をキャッチアップし提案型の営業につなげていくこと、主力販売店様への新製品の認知を広げ今後の拡販商品として取り上げていただくこと」の二つを大きな目的に掲げ、従来とは異なる手法で業績につなげていく考えを示した。

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開会の挨拶をした山善・専務執行役員の渡辺茂雄東京支社長

 展示会場入り口にはブラザー工業が4月発売のマシニングセンタ「W1000Xd2」を実演展示。同社の担当者は「本機種は40番と同等の加工ができる大きなワークスペースが特徴。本機に置き換えることで同じ加工であっても電力使用量を大幅に削減できる。また、従来の訴求ポイントであった生産性の高さが、1部品当たりの電力使用量の削減という点でも訴求できるようになってきている」と説明。
 住友電気工業も4月に発売した鋼・鋳鉄加工用超硬コーティングドリル「マルチドリルMDH型」を提案。同社は消費電力量やCO2排出量の削減に取り組むユーザーに向けて、高能率加工に特化した工具の開発を進めている。本製品は刃物先端の抵抗を低減する設計を施すことで、従来製品よりも速く送ることができるようになった。新たなPVDコーティングは工具損傷を抑制し、幅広い切削条件でも安定した加工ができる。
 測定・計測・検査ゾーンではベクトリックスがデジタル測定機器の測定データにパソコンに自動入力できる「テレメジャー」や、昨年販売を開始した校正管理システム「QC PRO CX」などを提案。QC PRO CXについて担当者は、「出張校正をやらない企業が増えており、自社で校正をやる必要が出てきている。紙やエクセルの管理では間に合わないとの要望があった。本システムであれば1カ月後に校正が必要なツールの抽出や1部門ごとの管理などが容易にできるため、校正漏れの防止などに貢献できる」とメリットを挙げた。
 ニコンソリューションズが「基本的な機能は搭載しながらも価格が非常に抑えられているため、かなりの引き合いがある」と話すのは顕微鏡デジタルカメラ「Digital Sight 1000」。静止画と動画の撮影はもちろんのこと、簡易な寸法撮影やスケールバーの表示などもできる。200万画素ながら同社のノウハウできれいに写真を撮影できる点も好評。
 脱炭素社会ゾーンには北越工業や三井精機工業の環境対応のコンプレッサなどを並べた。省エネ・環境改善商品を扱うさつきが提案したのが、次世代節電ユニット「ecomo(エコモ)」。変圧器(トランス)ごとにユニットを設置することで、電気使用量を5~15%削減できるもの。同社の担当者は「削減に至る原理が解明されていないことが弱点」としながらも、既に400事業所以上に導入実績があり、「実際の現場で継続的に消費電力の削減効果が得られている点が引き合いにつながっている」と話す。

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メーカーや山善社員の話に熱心に耳を傾ける人が多かった

2023710日号掲載)