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マザック財団、22年度は1650万円を助成

ヤマザキ マザック(株)

賞状を手渡す山崎智久会長

研究18件、論文16件、国際会議3件

 (公財)マザック財団(棚橋祐治理事長)はこのほど、2022事業年度(224~233月)の研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成の対象を発表。519日に美濃加茂製作所 第一工場で表彰式を開催した。
 今回、研究助成で寄せられた申請は35件だった。分野は切削や研削をはじめ、工具、ロボットなど多岐にわたったという。このうち名古屋工業大学の前川覚准教授による「表面の粗さやうねりのばらつきを考慮した不確かさ評価付トライボCAEモデルの開発」など18件が選定され、1300万円が助成された。
 なお、同研究は工作機械の設計開発を行ううえで重要となる摺動面の表面粗さなどの公差指定に対し、定量的な指標を示すモデルを提案するもの。技術が確立すれば過度な加工コストを抑えられるほか、加工時の振動減衰や軌跡誤差のシミュレーション技術につながるという。
 一方、論文では27件の応募に対して16件が優秀論文表彰に選定され、220万円の助成が行われた。この中から優秀論文特別賞に選ばれたのは、広島大学大学院生 大西翔太さんによる「自己較正法を用いた直進軸・回転軸の静的誤差の長期的変化のモニタリング」。工作機械の長期使用時に発生する幾何誤差を現場で簡単に測定できるようにする新提案で、タッチプローブを使い、形状精度が較正されていない状態の円筒ワークを測定することで幾何誤差を計測する。形状精度が較正されたワークをわざわざ準備せずに済む点に有用性があるという。
 表彰式ではヤマザキマザックの山崎智久会長が挨拶に立った。山崎会長は同社が1974年にいち早く米国に生産拠点を構え、直近でもインド工場を設けた点を引き合いに出しつつ「海外展開の源はやはり日本のものづくり。今後も日本の製造業が発展するには技術開発や製造に携わる人材の育成が大切だと考えており、工作機械博物館を作ったのも『人づくり』に貢献したいという思いからだ。ものづくりを支える研究者に対し、マザック財団を通じて継続的に応援できることを光栄に思う」と語った。
 なお、国際会議助成では7件の申請から3件が選ばれ、130万円が助成された。

2023525日号掲載)