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国際物流総合展に4万5千人

ラピュタロボティクスの自動倉庫「ラピュタASRS」

自動倉庫に熱視線

 915日までの3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「国際物流総合展2023 第3INNOBATION EXPO」(主催=〈公社〉日本ロジスティクスシステム協会ら7団体)が開催された。会期中には前回展(17841人)を大きく上回る44640人が来場するなど大きな賑わいを見せた。特に、物流の「2024年問題」を来年に控え、自動化・省人化に寄与する製品への関心の高さが窺えた。


 会場で最も注目を集めたのは自動倉庫システムだろう。各社が実機と共に柔軟性の高さや導入のしやすさをアピールしたが、中でもラピュタロボティクスが初めて披露した自動倉庫「ラピュタASRS」には人だかりができた。同社の強みである群制御技術を応用し、300台以上の搬送ロボットとエレベーターを協調制御し、保管だけでなく仕分けや荷合わせも可能なシステムへと仕上げた。一般的に自動倉庫の構造部分には金属部材が使われるが、同製品は柱と板、土台に強化プラスチックを採用。3つの部品はねじやボルトを用いずに簡単に組み上げることができる。土台には免振ゴム(積層ゴム)を用いているため、足場やアンカーを設置することなく施工可能。「倉庫や事業の変化に合わせてレイアウトや規模を簡単に変更できる」(同社)
 「もはや自動倉庫」との声も聞こえたのがGeek+の「PopPick」。昨年発表した棚搬送システムの大規模なデモ展示(13台の棚とステーション2台)を行った。一般な棚搬送システムと同様だが、棚の高さを3.9㍍に巨大化、ビン(籠)の間を20㍉に抑えることで、1つの棚に対しビンの数を60個まで拡大。大規模なステーション機能と組み合わせる事で、柔軟性の高い棚搬送システムの特長はそのままに保管効率を大幅に高めた。
 トヨタ紡織などからも出資を受けるCUEBUSは、世界で初めてリニアモータを活用した自動倉庫を披露。リニアモータとセンサを内蔵したタイルを床に敷き、その上に荷物を乗せるための四角いトレーを設置すれば施工完了。通信用のシステムもタイルに内蔵されているため、100V電源に接続するだけでトレーを自動走行させられる。同社の担当者は「経路探索」がコア技術であるとし、「1マスでも空きがあれば動かすことができる。エレベーターを使えば23段と高さも出せるため保管効率が良い。敷地面積を取ることが難しい都市に向く」と話す。

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CUEBUSはリニアモータを活用した自動倉庫を提案。設置自由度の高さに関心を示す来場者が多くいた

■2024年問題への直結提案も

 2024年問題の課題の一つとなっているのが、トラックからの荷下ろしだろう。アムンゼンはデバンニングマシン「イージーデバン」を提案。人が乗った状態のコンベヤとイージーリフト付きの搬出ローダーがトラックのコンテナ内部に入っていくことができるもので、荷下ろし業務の省力化に寄与する。同社の担当者は「9月にスウェーデンで発表されたばかりの製品のため、日本国内からの反応を見ているところ。既に運送業系の企業から良い感触は得られている」と話す。
 オカムラは「視点を、変えろ。解決を、超えろ。」をテーマに2024年問題へのソリューションを提案。輸送モードの変更はフィジカルインターネットやモーダルシフトなどで関心が高まっているが、同社はAutoStoreCYBISTORORVを活用した拠点内の価値向上による課題解消を提案。プレゼンテーションのタイミングには足を止める来場者も多く、新たな提案への関心の高さが見られた。

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オカムラの「CYBISTOR」。バース前の空間効率を高めることで、トラックの待機時間の削減を提案した

■現場の声を反映

 パレット搬送に欠かせない「キャッチパレットトラック」でお馴染みのをくだ屋技研は、様々な現場を想定したパレットトラックを出展した。来場客が盛んに試していたのが「電動キャッチパレットトラック」。同社・奥田智社長は「食品工場やコールドチェーンからの引き合いが増えています」と話し、湿度や水気の多い現場に向けて開発した衛生面や耐久性に優れるステンレス製のパレットトラックをイチ押しとした。

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をくだ屋技研の「キャッチパレットトラック」

 伊東電機はEC市場向けのコンベヤ「FNR」を初めて披露。拡大傾向にある同業界では梱包材を最適化する動きが活発で、形状がフラットでない軟包装物や薄いもの、軽いものが増えてきている。そうしたものは従来のコンベヤではローラー同士の間に落ちてしまったりして搬送できないなどの問題が生じていた。同製品は凹凸形状持った樹脂製ローラーを採用し、ローラー同士の凹凸が交互に組み合わさることで隙間を埋めるとともに、搬送時の衝撃を和らげられるのが特長。傾斜コンベヤへの乗り継ぎなど衝撃が加わりやすい箇所への使用に向くという。

2023930日号掲載)