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エヌシーアイ販売、3Dプリンタ用フィラメント

地球に優しい酢酸CNF樹脂採用

 3Dプリンタ用フィラメントの開発、販売を手がけるエヌシーアイ販売は、生分解性の高い酢酸セルロースナノファイバー(CNF)樹脂を用いた3Dプリンタ用フィラメント「NCIS 3DF-CA500B」を販売開始した。
 環境対応型のバイオマスプラスチック素材への需要が高まる中、現在主に使われているのはとうもろこしやじゃがいも等、植物由来のでんぷんや糖を主原料としたPLA樹脂。だが、一般的なプラスチックに比べ耐熱・耐衝撃性に劣るうえ、そもそも食品由来の原材料のため、供給量を増やすには森やジャングルを開発する必要があるなど、素材調達のプロセスでかかる環境負荷が問題視されている。実際、生分解性プラスチックと呼ばれているものでも海中に残留してしまうものや、埋め立ててから分解まで100年近くを要するものもある。
 一方、次世代の環境対応プラスチックとして注目されている酢酸CNF樹脂は、強度バランスに優れたABS樹脂と同等の特性を持ちながら、ABS樹脂より耐薬品性に優れており、特に石油系溶剤に侵食されづらい性質を持つ。またPLAに比べて高い耐熱性や耐衝撃性を有する。
 「酢酸CNF樹脂は食料資源を必要とせず、計画的に管理栽培された木や綿花などの植物を原料に使用し、環境破壊に繋がるような開発とは無縁です。PLAに比べて極めて高い分解特性を持ち、海洋中では約80日で90%が生分解されます」(同社)
 酢酸CNF樹脂は酢酸セルロースに可塑剤を配合して熱可塑性を付与しているが、同社フィラメントの可塑剤には生分解性の非フタル酸エステルを使用しており、フタル酸系化合物に対する環境規制にも対応している。
 「NCIS 3DF-CA500B」の推奨ノズル温度は210~230度、推奨テーブル温度は60~80度。推奨造形スピードは10~30㍉メートル毎秒。一般的なオープンリール方式の3Dプリンタに対応する。

2022515日号掲載)