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MF-TOKYO、4年ぶりリアル開催【後編】

トルンプは曲げ加工機「TruBend Center7020」を実演展示した。

いっそう増す自動化と安全性、過去最大5ホールに2万8千人

 715日までの4日間、4年ぶりに東京ビッグサイトでリアル開催されたプレス・板金・フォーミング展「MF-TOKYO2023」には業界初や自動化を一層追求した技術が数多く披露された。233社・団体の出展(内部出展・共同出展を含めると270社・団体)に、コロナ禍前の2019年展(延べ3113人)に比肩する28219人が訪れた。
 鍛圧機械にもロボットの活用が進んでいる。トルンプは複雑な曲げ加工に対応する全自動機「TruBend Center7020」を日本初披露。機械中央にある回転式部品マニピュレータでワークを機械にセットし、グリップ変更なしで曲げ線に近づけられるため、サイクル時間を節約できる。成人男性が一抱えする大きさの箱の曲げ加工の自動化を実演し、「熟練作業者なみの精度まで追い込むことは難しいが、それでも十分な現場は多い。特に大物で曲げにくいワークは事故のリスクもあり関心が高い。ワークの投入・排出に関してもロボット化することでさらなる省人化ができる」と話す。
 ファナックは自動化があまり進んでいない中小企業向けに導入・設置しやすく教示しやすい協働ロボットを紹介。「CRX-25iAは」の可搬質量はソフトの設定で通常より5㌔アップの30㌔グラムと、ダイレクトティーチングできる協働ロボットでは最大クラス。「他社製にこのクラスのロボットはあるが、手首が真下を向かねばならないといった制限がある。当社ロボットにはその制限がなく用途が広がる」とし、重量物の移動のほかハンドに筆を持たせて習字をさせ、繊細な動きも見せた。
 「一連の自動化で欠けていた最後のピースを埋めた」と感慨深げに話すのはアマダ。同社で初となるAGVAMTES」(参考出品)がベンディング自動化システム「EGB-1303ARse」にワークの受け渡しをして見せた。「単体機で進めてきた自動化を工程間に発展させた。生産現場と事務所をつなぐDXソリューション『LIVLOTS』とも連携し、生産性をいっそう向上する」と言う。
 三共製作所はEV需要の波を捉え、プレスマシン搭載用の材料送り装置「Variax」シリーズを中心に提案した。同社が得意とするカム技術を応用することで、高い送り速度を誇る。ブース中央には新開発の送り装置「Variax OPUS1R-Xシリーズ」のツインモータータイプを展示。シリーズを通して追求してきた高速性能をツインモーター駆動により安定度を増した。従来のグリップ力の状態監視に加え、板厚自動測定やグリップ力測定などの機能追加により使いやすさも加えた。
 鍛圧機械業界では安全性の向上が欠かせない。富士機工は安全対策を施した油圧プレス「セーフティプレス LSP-3030」を初めて出展。動力プレス機械構造規格の安全プレスに準拠し、光線式安全装置や安全カバー、両手押しスイッチを搭載する。マシンの両端に設置した光線式安全装置は、人の手などの侵入を検知し、金型が下りない安全設計。規格に準拠したプレス機の中でも最小クラスのサイズだという。
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三共製作所の高性能送り装置「Variax OPUS1R-Xシリーズ」のツインモータータイプ。EVモーター向けの需要が増えてきつつあるという。

(2023年8月10日号掲載)