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中村留、自社展に881人

中村留精密工業(株)

JX-200は機内を一望できる大きな窓や表示灯の役割を持たせたLEDラインが評価され、第53回機械工業デザイン賞IDEAの日本工作機械工業会賞も受賞

新工場と負担を削る機械・ソフト披露

 中村留精密工業は823日からの3日間、本社でプライベートショー「負担を削る展」を開催した。ユーザーの負荷軽減につながる複合加工機やソフトウェアのほか、7月に竣工した第13工場「MAGI」を披露。想定していた600人を大きく上回る881人が来場した。
 MAGIの由来は新約聖書に登場する東方の3賢者で、名前の通り既設の1112工場と三位一体で連携する。建屋は2階建てで、内部で1112工場とつながっている。この3棟で、工作機械のユニット製作から最終組み立てまでを一気通貫で行う。生産能力は従来比35%向上し、月100台強の生産台数は200台へ高まる見込みだ。
 同社では従来、主軸やタレットなどの各ユニットを78工場で組み、11.12工場へ運んでベッドに組み付けていた。しかし組み付け後の調整が長引き、ベッドはスペースも取るため生産のボトルネックになっていたという。新工場の完成を機に、ユニット同士を組み合わせて精度を出した後、ベッドへ組み付ける生産方式に変更する。ある機種では最終組み立てが3日から1日に縮まる効果が出ている。12階を貫く自動倉庫やAGVも導入し、完成したユニットの搬送や部品供給を夜間に無人で行うことで作業者が動き回る必要のない仕組みも構築する。
 製品ではATC型複合加工機「JX-200」が注目を集めた。全長349.1㍉と世界最小クラスのATC工具主軸を搭載しており、下タレットとの組み合わせで上下同時加工など様々な加工に柔軟に対応する。L/R主軸での左右同時加工時にも工具主軸の干渉リスクを抑え、生産性を妨げない。「工具主軸が小さいため加工に使える領域が広い。心間1250㍉と聞いて皆さんが思い浮かべるより、長く大きなワークが加工できる」という。
 工具主軸は小さいが、加工能力への不安は重切削デモで取り払った。切込み量5㍉(周速160/分・送り0.3㍉)の旋削加工や、φ50フライスカッタを使った切込み量10㍉のミーリング加工(周速190/分・送り0.3㍉)など工具主軸を使った3種類の加工を実演。ビビりを抑えて加工をこなす力強さを見せた。「コンセプトは『できない』を『できる』に変える。この機械でできない加工はほとんどないと考えている」(同社)
 ほか、3DCADモデルをもとにプログラムを自動作成する「3D Smart Pro AI」も展示。「事前設定を行っておけば5分以内にプログラムを作れる。難しいものはCAMで、簡単な加工は3D Smart Pro AIで行うことで現場負担を削れる」という。

(2023年9月10日号掲載)