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牧野フライス製作所「e・MACHINE」始動

5軸MCなど3製品を発表

 牧野フライス製作所は、5軸制御横形マシニングセンタの新製品「a800Z」(=写真)を125日に発売した。パレットサイズは630角で、aシリーズの人気機種「a500Z」(同500角)より一回り大きい。最大軸移動量はX1280×Y1200×Z1325ミリ。最大積載質量は1000キロ。出荷開始は今年9月、年間60台の販売を計画。国内定価(税別)は8500万円。
 「拡張性」や「環境性能」など様々なテーマを掲げる同社の新コンセプト「eMACHINE」に沿った新製品。機械納入後、生産品目の変化に合わせて高速主軸を高トルク主軸に変更できるほか、工具マガジンの拡張、FMS対応追加など、仕様/機能の再構築で加工内容やボリュームの変化に対応できる。APCの電動化も実現したほか、機内への接近性を高めつつ足元が干渉しない機能美に優れた新デザインも採用した。
 発売当日の会見ではさらに、5軸横形MCa900Z」(パレット800角)、4軸横形MCa91nx」についてもeMACHINEのコンセプトを取り入れた新機種として同時発表した。髙山幸久営業本部長は「eMACHINEは不確実性が高まる今の時代に即したコンセプト。ユーザーの声を聞きつつ新製品に順次取り入れ、完成形を目指したい」と話す。これら3機種の主なターゲットは中大物の構造部品で、大繁忙期を迎えた半導体製造装置、建設機械や航空機などの市場を狙う。半導体製造装置部品ではシール面の手磨きレスを実現するなど特殊工具を用いた加工技術でも高効率化をサポートする。

従来比4割増の切削量
 新製品のa800Zの最大の特長は、独自のZ型傾斜テーブルにある。重心を傾斜軸に近づけることで、軸動作に伴うイナーシャ(慣性)を徹底的に低減し、大物重量ワークでも無駄のない高速動作と高速位置決めを実現した。同社では「切削反力が、ダイレクトかつ素早くベッドに伝わる堅牢な構造。剛性が高く、4軸機なみの加工能力を誇る」と説明する。フライス工具を用いたダクタイル鋳鉄の加工テストでは、従来機比40%増の切粉排出量を実現した。各軸の早送り速度も毎分60㍍と高速で生産性に優れる。
 また、加工場所の内壁をステンレスの垂直な構造にすることで、クーラントやエアなどに頼ることなく排出し、エネルギーの削減に貢献。細かな切り屑がたまりやすいタンク内に攪拌ノズルやコンベヤを設置することでクーラントメンテナンスの負担も軽減できる。

2021210日号掲載)