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フジ産業、建材の街が生んだ「現場目線」の長尺加工機

フジ産業(株)(株)フジコーポレーション

オーダーメイドの長尺加工機がズラリと並ぶ工場内

 樹木の育成に適した自然条件に恵まれ、面積の約64%を森林が占める静岡県。天竜杉に代表される木材の一大産地であり、古くから木工や建材の産地として栄えてきた。静岡県静岡市に本社を置くフジ産業も、木材加工用機械のオーバーホールに端を発する。
 同社は約40年前に長尺ワーク専用のNC加工機を開発。以来、長尺加工機のパイオニアメーカーとして存在感を放ってきた。人口減少とともに建材市場がシュリンクしていく昨今だが、同社の長尺加工機には底堅いニーズが寄せられている。
 「そもそも、長尺ものの加工はいまだに手作業でけがいて、ボール盤や汎用フライス盤で加工しているという現場がかなりある。しかも加工を行う方は高齢化が進んでおり、技能継承もままならず、人手不足に陥いるケースが非常に多い。こうした現場から当社加工機を導入して頂くケースが増えています」(同社)
 同社の長尺加工機は「現場の使いやすさ」にとことんこだわっている。多くのNC工作機械はGコードを入力しなければならないが、同社が独自に開発した「対話型プログラム」は画面のガイドに沿ってワークの寸法や加工パターンを入力するだけで加工できる。
  また、画面上で設定した加工プログラムを確認できるので、実際に機械を動かす前にどういった加工が行われるかをイメージできるという。昨今では現場に海外からの労働力が増加していることも踏まえ、対話プログラムにはベトナム語仕様も用意している。
 実際に素人が同社の長尺加工機で加工を行う場合、どれくらいの時間で覚えられるものなのだろうか。
 「当社では機械をお納めするときに必ず使い方をレクチャーさせて頂いているが、据付からレベル出し、セッティング、操作指導を含めても約1日で使えるようになる。またご来社して頂ければ、初心者でもNC機を使ったことがないベテランでもすぐに使いこなせるように指導させて頂いている」(同社)。
 また昨今ではワークの搬出入やATCによる工具自動交換など、自動化に主眼を置いた引き合いも増えているという。
 「当社加工機はほぼセミオーダー品で、当社の営業がお客様の加工内容を詳細にヒアリングした上で機械をお納めしている。また過剰な機能を付けるのではなく、お客様に必要な機能にしっかり焦点を当てて、なるべくリーズナブルに提案するようにしている」(同)

0610フジ産業写真2.jpg

NC長尺加工機(ATC仕様)

2023610日号掲載)