日本物流新聞生産財と消費財の業界専門紙として半世紀を超す実績。
日本物流新聞社のWEBサイトでは、
ものづくりを支える工作機械、工具、ロボット、産業機器等の情報から、
ハウジングはじめ住まい・暮らしの様々なニュースをお届けしています。

検索

News

中村留精密工業、複合加工機検定が盛況裡にスタート

中村匠吾社長

業界初、複合加工機の“良さ”を伝える場に

 旋盤やフライス盤、マシニングセンタにあって複合加工機にないものがある。自身の技術レベルを客観的に測ることのできる、技能検定制度だ。

 先に挙げた旋盤加工やフライス加工は国家資格・機械加工技能士の選択科目だが、そこに複合加工は含まれていない。機械構造の幅が広く検定の仕組みづくりが難しいなど理由は様々あるのだろうが、いずれにしても複合加工機ユーザーは、自身の腕試しができる場を切実に求めていたようだ。「複合加工機の技能検定をスタートした最大の理由は、スキルやモチベーションを上げる機会がほしいというお客様からの声です」。中村留精密工業の中村匠吾社長は、業界で初めてとなる取り組みの裏側をそう明かす。
 同社は4月に独自の実技検定「複合加工機検定 初級」を発表。自社のHP上で受付をはじめた。対象は同社の複合加工機ユーザーで、図面をもとに段取りやプログラム作成、実加工までを制限時間内に行う。検定には試験官が付き添い、終了後には加工精度や機械の扱い方、よりスムーズな加工プログラムの組み方などフィードバックも受けられる。初回は623日だが「ありがたいことに募集開始早々、定員オーバーしました」(中村社長)と、想定を上回る応募が寄せられたようだ。
 ターニングとミーリングを1台で行える複合加工機は、スペース効率や作業性など様々な面で導入メリットが大きいとされる。しかし「操作が難しい」と思われがちなのも事実で、同社は検定を通じてイメージを塗り替えたい考えだ。「確かに位相合わせなどハードルもありますが、複合加工は正しく学べばそこまで難しくないはずなんです。初級のワークには我々の思いを詰め込みました。学んでほしいポイントをできる限り網羅したので、楽しくトライしてもらえれば。検定が自信につながり、加工の楽しさを通じて複合加工機の良さを再認識いただければ言うことはありません」
 ところで、今回スタートしたのは複合加工機検定「初級」。レベルとしては「1スピンドル1タレットの複合旋盤で、ミーリングやY軸を使って加工ができるくらい」で、主軸間のワークの受け渡しやCAMを用いた加工プログラムの作成までは要求されないようだ。初級があるなら中級や上級もあるのかと期待してしまうが、同社では実際に初級以上の検定も前向きに検討しているという。具体的な内容は未定だが「腕に自信がある方はぜひご期待を」とのことだ。
 「『複合加工機で現場の負担を削る』というのが我々の届けたい価値であり、複合加工機をうまく使いこなせれば間違いなく生産性は上がります。検定で知識やスキルを磨いていただき、お客様とWIN-WINの関係が築ければ幸いです」

2023610日号掲載)