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貼るだけで40度低下も、SPACECOOLがゼロエネで

フィルム(奥)と帆布(手前)、各ホワイトとシルバーの二色展開(エコプロ2021にて)

 「世界に木陰の涼しさを」と素朴な響きのビジョンを掲げるのが、SPACECOOL(東京都港区)である。今年4月に大阪ガスとWiLによるジョイントベンチャーとして設立された。世界最高クラスの性能を誇る放射冷却素材「SPACECOOL」を製造している。既に有償サンプル提供による実証実験を各所で進めている。
 この冷却素材の機能はとてもユニークだ。太陽光と大気からの熱をブロックすることで熱吸収を抑えるだけではなく、「大気の窓」と呼ばれる8~13μmの波長域で熱を宇宙へと放射させる。日射による入熱よりも放射による宇宙への出熱を増大させるという仕組みだ。SPACECOOLを使用することで、施工物の内部をゼロエネルギーで外気より数度低温にすることが可能になる。これまでの遮熱素材と断熱素材は取り込まれた熱の施工物内部への影響を低減するものだが、SPACECOOLは熱を取り込みにくいだけではなく、入射熱を宇宙空間に放射できる波長域に調整した上で反射するという新たな取り組みだ。
 SPACECOOLは、比較的コンパクトな空間と水平面への使用が効果的だ。つまり、運送業界との相性が非常によく、2tトラックのコンテナにSPACECOOLを施工した実証実験では、コンテナ内部の天井付近の温度が施工なしのものと比べ40度以上の差があり、外気温に比べても数度低い水準が保たれた。この性能がゼロエネルギーで実現されるということが驚きである。また、これまで夏場の冷蔵車は使用前にアイドリング運転を2時間ほど必要とすることもあった。しかし、SPACECOOLを使用することで熱を溜め込まないため、アイドリング運転の時間を短くすることが可能になる。2025年日本国際博覧会において実証実験が行われる予定。

20211225日号掲載)