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岩手大学金型技術センター、共同研究を加速

センターは多様な加工機を設備する。

学生金型グランプリの金賞常連校

 岩手県南西部にある岩手大学金型技術研究センター(北上市相去町、2003年設立)。マシニングセンタや放電加工機、研削盤、射出成形機などをもち、修士課程として金型と鋳造の両プログラムをもつ日本唯一の教育機関だ。周囲に金型を扱う工場が多く、そのレベルアップを目的に企業との共同研究も進めている。近年は金型表面にコーティングを施すことで離型しやすいプラスチック金型となることを発表したりした。
 同センターは金型加工技術展「INTERMOLD」の学生金型グランプリの金賞受賞の常連大学でもある。プレス部門では2016年、21年に、射出成形部門では14202123年に金賞をそれぞれ受賞。ということは21年は両部門同時に金賞を獲得したことになる。最高賞のダブル受賞はグランプリ始まって以来という。
 その21年の射出成形部門ではエジェクタ跡(押出しピンの跡)のない名刺ケース(ポリスチレン製)の金型を作製した。コア部分が横だけでなく上下にも動く構造にしたことで実現。「スライドコアを抜き切らずに製品をコアごと突き出す」と同センターの吉田一人特任教授は秘訣を明かす。画期的な手法に思えるが、「一般の金型メーカーはまずこの手法を採用しない。生産効率や良品率の観点から」と金型づくりには様々な観点から評価する必要があることを示唆する。
 センターは引き続き総合技術としての金型技術研究の高度化を図るとともに、学生金型グランプリの受賞を目指す。

岩手大学金型技術研究センター・学生金型グランプリの金賞常連校P2.jpg

2021年に金賞受賞した名刺ケース用金型

2023710日号掲載)