日本物流新聞生産財と消費財の業界専門紙として半世紀を超す実績。
日本物流新聞社のWEBサイトでは、
ものづくりを支える工作機械、工具、ロボット、産業機器等の情報から、
ハウジングはじめ住まい・暮らしの様々なニュースをお届けしています。

検索

News

日本金型工業会定時総会 

経済産業省製造産業局素形材産業室星野昌志室長(左)、日本金型工業会 小出悟会長

持続可能な業界へ7つの提言「下請け」を「パートナー」へ

 日本金型工業会第11回定時総会が69日、ホテルメルパルク名古屋(愛知県名古屋市東区)で開催され、会員や来賓など約140人が参加した。対面での開催は3年ぶりとなる。総会では、「下請け」という蔑称的なニュアンスがある言葉の言い換えや、金型産業を持続可能な産業にしていくか、7つの提言が示された。
 小出悟同工業会会長は「コロナ禍前から自動車産業に100年に一度の変革が訪れ、われわれがおかれている環境も先が見えない。日本の金型産業を持続可能な産業にするために7つの提言をさせていただいている。金型産業の15兆円の経済的ボリュームを維持しつつも、コスト低減を強いられるばかりの中での受発注から抜け出す必要がある。個社個社でさまざまな意見もあるだろうが業界が一糸乱れぬ『業界ワンボイス』になる必要がある」とし「下請けという言葉がある。これには差別的な臭いがプンプンする。もっと前向きな言葉に言い換えていく。そのことに関しては、反対する人もいないだろうから、まず『業界ワンボイス』になれるのではないか」と力強くあいさつした。言い換え用語としては「パートナー」を想定しており、まずは同工業会の内部から使用し、徐々に周辺に浸透させていくようだ。
 その後、第1~4号議案が万雷の拍手で承認された。来賓挨拶では、61日付で経済産業省製造産業局の素形材産業室室長に就任した星野昌志氏が「この10年はエネルギー行政を担当していた。カーボンニュートラルへの取り組みが課題となり、ウクライナ情勢によるエネルギー危機が起こった。エネルギーの安定供給と脱炭素化が求められている。モノづくりに立ち返るとGXDXの大きな波が起こっているが金型は基盤であり、日本の技術力で世界に打って出る。そういった取り組みに尽力したい」と話した。
 日本の金型産業を持続可能な産業にするための7つの提言は▽金型産業のボリュームをどう考えるか(産業としての市場規模)▽インフラについて(工作機械・材料・部品・熱処理業界との連携)▽人財について(企業・団体として体系的人材育成の構築)▽全体の意識・モラルについて(同業他社による不毛な価格競争からの解放など)▽新技術の開発(提案型企業を目指すために)▽公世界との強固な関係(官学産連携など)▽事務局体制の強化(本事業を長期的に継承させていく事務局)、となる。

2023710日号掲載)