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中村留、本社で自社展

中村留精密工業(株)

1タレットプログラミングの工程編集画面。1つのタレットで作成した工程を他のタレットに簡単操作で割り振れる

複合機を使いやすくする2機能発表

 中村留精密工業は128日からの3日間、石川県白山市の本社でプライベートショーを開催した。
 報道陣向けにプレゼンを行った同社の中村匠吾専務取締役は、「これからの時代、1つの製品の売り上げを長期にわたり確保するのは必ず難しくなる。つまり複数の品種を持ちながらモデルチェンジや需要変動に対応しつつ効率よく生産を進める必要があるが、そのためには段取り作業を減らすことが重要なテーマになる」と言及。「そのために複合加工による工程集約という武器を使っていただきたい。複合加工機を誰でも・簡単に・早く・精度良く使っていただくための機能を我々は開発している」と、多品種少量生産における複合加工機の優位性を語った。
 その言葉通り、プライベートショーでは複合加工機の使い勝手を向上させる2つの新機能が発表された。そのうちの1つ「ジオナビ」は、ツールセッタを用いた形状補正を半自動化するサポート機能。ユーザーはタレットをハンドル操作でツールセッタのプローブから約10㍉の位置に近づける「アプローチ」を行うだけで、以降の測定動作をすべて自動化できるという。
 従来は手動でプローブに工具を接触させることで形状補正を行うが、繰り返し作業が多いことから熟練技術者でも座標の取り忘れが発生していた。さらにプローブへの接触速度の違いによる測定精度のバラつきも発生していたといい、加工従事者の習熟度次第では作業時間に大きな差が生じることもあった。
 しかしジオナビでは、形状補正取得手順をモニタ上にガイダンス表示。指示に従って操作することで、初心者でも簡単に作業を進めることができる。プローブへの接触速度も一定で、測定結果のバラつきや座標の取り忘れミスを防ぐ効果もある。ある事例ではジオナビを使うことで、初心者による補正作業時間を45%短縮できたという。

多系統プログラミングを簡単に

 会場ではジオナビのほか、新機能「1(ワン)タレットプログラミング」も披露された。「世界的に見ても『とっつきづらい』と感じるユーザーが多い」(中村専務)という、マルチタレット複合加工機のプログラミング作業を簡単にするサポート機能だ。
 ユーザーは1つのタレット用のプログラムを作成。そこから「工程編集機能」を使い、他のタレットに移動させたい工程を選んでカーソル移動させるだけで、任意の工程を別のタレットへと振り分けられる。従来はタレット間で工程を移動させる際には煩雑なプログラム修正が必要だったが、1タレットプログラミングではGコードやMコードの変更、Z軸符号の反転なども自動で実施される。1タレットでのプログラミングに近い感覚で、簡単に多系統プログラミングが可能になるわけだ。
 「1タレットのユーザーでも訓練すれば多系統プログラミングは可能だが、やはり心理的不安はぬぐえない」と中村専務。「しかし1タレットプログラミングなら『これならできる』という感覚を持ってもらいやすく、自ずと複合加工機を導入いただける方が増えると考えている。複合加工機を導入されている方はまだ一部。自社だけでなく複合加工機のカテゴリ自体を伸ばすことが重要と考えている」と展望した。

20211225日号掲載)