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工作機械メーカー、印で現地生産へ

ブラザー工業はベンガルール市近郊に工作機械工場を新設し、納期短縮につなげる

需要拡大を見据え納期短縮

 およそ14億人の人口を抱え、「次なる中国」とも目されるインド。経済発展著しいこの地に、このほど工作機械メーカーが相次いで新工場を建設している。
 ヤマザキマザックは約40億円(第一期工事まで)を投じ、IT産業の集積地として知られるマハーラーシュトラ州プネー県に工場を新設。20233月の稼働開始を予定し、インド国内向けの新たな立形マシニングセンタを月産40台のペースで生産する計画だ。
 同社のインド市場での工作機械受注は足元で月30台ほど。現在は日本とシンガポールからの輸出で対応している。しかしインドでは内需の拡大に伴い、自動車・農機・航空機をはじめ幅広い製造企業が積極的な設備投資を継続中だ。サプライチェーンの世界的な見直しに伴う半導体投資も活発で、「このような動きも相まって今後インド市場の需要拡大が見込まれる」(同社)ことから工場の新設に踏み切ったという。
 同社がインドで生産するのは日本で設計開発したインド向けの新型立形マシニングセンタ「VC-Ez」。高温対策として強電盤クーラーを標準装備して電装品の耐久性を上げており、インドで頻発する停電対策として、停電時の主軸引き上げ・タップ引き抜き機能を標準仕様としている。こうした現地需要に即した機械を素早く提供できる体制を整え、段階的に生産量を引き上げていく方針だ。
 一方、ブラザー工業は約20億円を投じた工作機械工場をインド南部ベンガルール市近郊、トムクール地区の日本工業団地に新設する。竣工は249月で同年12月の稼働予定だ。同社は223月にアフターサービスやテクニカルサポートを行う現地法人「ブラザーマシナリー(インド)」を設立しており、ここに生産機能を追加する形。現在は日本と中国で工作機械を生産しているが、ここにインドを加えることで、自動車・二輪を中心に見込まれるニーズの増加に対し短納期で製品を提供できる体制を整える。
 「足元のインドの工作機械需要も伸びを実感しており、今後はさらに伸びていくものと考えている」(同社)。同社は現時点でインドでの具体的な生産機種を明らかにしていないが、「短納期を目指しており、インド市場で需要の高い機種になる予定」という。難しい市場とも言われるインドだがやはりそのポテンシャルは魅力。中長期的には機械の現地生産が増えていきそうだ。

2023225日号掲載)