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北部九州どて市、マリンメッセ福岡で開催

通路幅を広くとって3密を回避した会場

リアルにこだわり目標上回る受注、出展メーカー「景気回復を実感」

 展示商談会「どてらい市」がコロナ禍にあっても着実に成果を上げている。3月の広島どてらい市に続き、新年度最初の2021北部九州どてらい市(地域商社26社が主催)が419日までの3日間、福岡市のマリンメッセ福岡で開かれた。2年ぶりとなった第8回展に生産財メーカーを中心に前回より1割少ない211社が出展、1666人が来場した。主催店数が同3割減ったこともあり受注額は219486万円と前回の半減となったが、目標を1割上回った。
 運営サイドは運営にあたる全社員に事前にPCR検査を実施するなど感染症対策を徹底して実施。来場者は会場入り口で除菌ミストシャワーゲートを通過すると同時にサーモグラフィーで検温し、手の除菌は会場の至るところで行われた。展示エリアの通路は3㍍幅を確保し、換気を十分に行い、場内での食事提供を取りやめるなどして感染リスクを排除した。
 実物の商品を見ながら商談するという本来のスタイルにこだわった。恒例の開会式は開かず、事務局の山善の佐々木公久・専務執行役員は「リアルに行わせていただける感謝の思いを形にしたい。商売はお客様の顔を見て行うもの。ウェブ展では受注につながらない」と開幕時に話し、森元・九州支社長は「感謝の気持ちを忘れずに、例年のどてらい市と何ら変わらないことを肝に銘じたい。商売は商売として緊張感をもってできることを1つひとつ確実に取り組んでもらいたい」と運営サイドに呼びかけた。

■中国・高精度ニーズがけん引

 出展した生産財メーカーの多くが景気回復を実感している様子だった。主軸30番の小型複合加工機「M300X3」を出品したブラザー工業は「中国市場が引っ張り、今年に入って当社の出荷台数は回復傾向にある」と話した。ワイヤ放電加工機のワイヤを回転させて均一な加工とワイヤ消費の低減につなげる世界初の機能「i groove」を紹介したソディックは「金型だけでなく部品加工にも使われるワイヤ放電は高精度が求められ、引き合いが増している。今年の売上は昨年に比べプラスになってきた」と言う。片持ちに比べて剛性を増した門形平面研削盤「PSG-CHシリーズ」を展示した岡本工作機械製作所は「モーターコア金型などワークは大きく高精度になる傾向があり、本機は同じクラスの研削盤に比べて1千万円ほど高くなるが選んでいただけている」と自信を見せた。
 人手不足が広がるなか職人の技能を補える機能をアピールするメーカーも見られた。澁谷工業は来場者を限定して3月に開いた自社展で初披露したハンディートーチ仕様のファイバーレーザー溶接機「FLW1000SH」(発振器出力を従来の2倍の1000㍗にアップ)を出品。ビームを最大5㍉幅で左右に揺らせるスイング機構を付けたことで、「ギャップ(材料間の隙間)が0.3㍉程度あっても溶接できる。従来苦手だったアルミ溶接も可能で、誰でもうまく作業できる」と言う。北川鉄工所は把握精度0.01TIR以下の標準チャック「BRシリーズ」にオプションで付けられるTナットプラスを紹介し、「ジョー脱着後も再現精度0.01TIR以下で段取り替え時のジョーの再成形が不要。誰でも簡単に扱える」と訴えた。

■巣ごもり需要を獲得

 コロナ禍の新たなニーズをうまく取り込むメーカーも。家庭用エアコンで唯一、換気機能をもつ「うるさらX」を販売するダイキンHVACソリューション九州は「昨年6月から爆発的に売れ始め、冬には例年の2倍の売上を記録した」と明かす(6畳用エアコン8機種のうち3機種に換気機能を搭載)。アルインコのホームフィットネス商品の売上は緊急事態宣言が発出された昨年4月から前年比30~40%増で推移していると言う。「とりわけフィットネスバイクが好調。夏になると外での運動は熱中症の危険が伴うのでさらなる売上拡大が期待できる」。日本製紙クレシアの「消毒ウェットタオル64120」(100枚入り)は「病院向けを中心に工場などでも使っていただき、半年ほど前から売れ行きは前年の3倍で推移している」そうだ。一般的なウェットタオルのエタノール濃度は30%前後なのに対し、本品は79%で高い消毒効果を発揮できることが売上増につながったと言う。

2021515日号掲載)